RTX 5070は、2025年3月8日に発売されたRTX 50シリーズのミドルハイクラスに位置付けられるGPUです。
ミドルハイクラスとは言え、重量級のゲームもプレーできる十分な性能を持ちながら、価格が抑えられていることもあり、発売以降トップクラスに人気が高いGPUとなっています。
本記事では、RTX 5070の基本性能や特徴を詳しく解説し、実際のゲームでのパフォーマンスを検証します。最後にRTX 5070搭載のおすすめゲーミングPCを紹介します。
RTX 5070の基本スペックを解説
| RTX 5070 | RTX 4070 | |
| アーキテクチャー | Blackwell(GB205) | Ada Lovelace(AD104) |
| SM | 48基 | 46基 |
| CUDAコア | 6144基 | 5888基 |
| RTコア | 48基(Gen 4) | 46基(Gen 3) |
| Tensorコア | 192基(Gen 5) | 184基(Gen 4) |
| L2キャッシュ | 40MB | 48MB |
| ベース/ブーストクロック | 2,165MHz / 2,510MHz | 1,920MHz / 2,475MHz |
| VRAM | GDDR7 12GB | GDDR6X 12GB |
| メモリーデータレート | 28Gbps | 21Gbps |
| メモリインターフェイス | 192bit | 192bit |
| メモリ帯域幅 | 672GB/s | 504GB/s |
| PCI-Express | Gen5×16 | Gen4×16 |
| グラフィックスカード電力 | 250W | 200W |
RTX 5070は、メモリ規格が従来のGDDR6Xから最新のGDDR7へと一気に世代交代。これにより、メモリ帯域幅が劇的に向上しました。
具体的には、RTX 4070のメモリ帯域から約29%アップの672GB/sを達成。この大きな飛躍により、特に高解像度や高負荷なテクスチャを多用する最新ゲームではパフォーマンスが発揮しやすくなっています。
ビデオカード単体の価格ですがVRAM16GB版は8万円代前半を維持している印象です。
RTX 5070の特徴
MFGに対応

「MFG(Multi Frame Generation)」は、NVIDIAが開発した画期的な新しいフレーム生成技術です。
従来のフレーム生成技術(既存のDLSS FGなど)が1つのレンダリングフレームにつき1つの追加フレームを生成していたのに対し、MFGは最大で3つのフレームを追加生成できます。
これによって、DLSS FGよりも遥かに高いフレームレートを実現し、よりスムーズで快適なゲーム体験が可能です。
ただし、この先進的なMFG技術は、NVIDIAの最新グラフィックボード「RTX 50シリーズ」でのみ利用可能な限定機能です。もちろん、RTX 5060も対応しています。

MFGはNVIDIA AppからDLSSオーバーライドすることで設定できます。

若しくはゲーム上のオプションから直接設定できます。
VRAM12GB

VRAMはGPU専用のメモリで、主にゲーム中に激しく消費します。VRAMにはGPUごとに容量が決まっていて、この容量を超えたとき、ゲームの快適性が損なわれる危険性があります。
具体的にはフレームレートが全くでない、そして最悪、ゲームが起動しないなんてことも。そんなVRAMですが、RTX 5070のVRAM容量は12GBと比較的余裕の容量があります。
高負荷なゲームでは、VRAM不足の心配なく、ゲームをプレーできます。

4Kで、グラフィック・レイトレーシングの設定を最高など、過度な設定をするとさすがにVRAM12GBでは足らない可能性があります。
検証環境
検証するゲームタイトルについて
ここからはゲームベンチマークでRTX 5070のゲーム性能を検証します。
検証したゲームタイトルは下記の8タイトルです。
- Assassin’s Creed Shadows
- Ghost of Tsushima
- Monster Hunter Wilds
- Cyberpunk 2077
- Marvel Rivals
- FFXIV: 黄金のレガシー
- Stellar Blade
- F1 25
ゲームのグラフィックはそのゲーム内の最高設定にしています。また、フレーム生成は有効にし、MFG対応ゲームにおいてはMFG×4に設定しています。
比較対象のグラボ
RTX 5070の比較対象として下記のグラボを用意しました。
- RTX 5070 Ti(VRAM16GB)
- RTX 5060 Ti(VRAM16GB)
- RX 9060 XT(VRAM16GB)
- RX 9070 XT(VRAM 16GB)
RX 9060 XT、RTX 5060 TiはVRAM16GB搭載モデルを使用しています。


3Dグラフィックス性能測定のためのベンチマークソフトの3D Markで、今回検証に使用したGPUのスコアを比較しました。
ラスタライズ性能をテストするSteel Nomad、レイトレーシング性能をテストするSpeed Wayの2種類のテストを使用しました。
RTX 5070のスコアは格上のRTX 5070 Ti、RX 9070 XTに及ばないものの、格下のRTX 5060 Ti、RX 9060 XTを大幅に上回っています。
特にSpeed WayのスコアはRX 9070 XTとほとんど変わらず、レイトレーシング性能はかなり高いです。
検証機のスペック


| パーツ | 製品名 |
|---|---|
| マザーボード | ASUS ROG STRIX B650-A GAMING WIFI |
| CPU | Ryzen 7 7800X3D |
| ビデオカード | ZOTAC GAMING GeForce RTX 5050 SOLO |
| CPUクーラー | PCCOOLER GAME ICE K4 |
| メモリ | Kingston FURY Renegade DDR5 RGB メモ (16GB×2、DDR5-4800) |
| システム用SSD | WD_BLACK SN770 NVMe |
| アプリケーション用SSD | Kingston NV3 |
| 電源 | MSI MAG A850GL PCIE5 |
| PCケース | 長尾製作所 SMZ-2WBT-ATX |
| OS | Windows 11 HOME(24H2) |
| 電源プラン | バランス |
CPUにはRyzen 7 7800X3Dを使用しています。3DVキャッシュを搭載しており、ゲーム性能が非常に高いCPUです。RTX 5060 Tiの性能を最大限引き出すことができます。




「ZOTAC GAMING GeForce RTX 5070 SOLID OC」です。カード長は304mmと300mmを超えています。ただ、SFF(Small Form Factor)規格に対応していることもあって、全体的にコンパクトなサイズ感です。
RTX 5070のゲーム性能
Assassin’s Creed Shadowsの平均fps


・画質:最高
・レイトレーシング:全体的に拡散+反射
・アップスケーリング:DLSS/FSR/XeSSクオリティ
・フレーム生成:有効


RTX 5070の平均フレームレートは、フルHDで185fps、WQHDで160fps、4Kで131fpsでした。
MFG×4を有効にすることで、RX 9070 XTを大きく上回る平均フレームレートを出せます。
Ghost of Tsushimaの平均fps


・画質:非常に高い
・アップスケーリング:DLSS/FSRクオリティ
・フレーム生成:オン
※1分間フィールドを馬で駆け抜けてるときに計測


RTX 5070の平均フレームレートは、フルHDで184fps、WQHDで161fps、4Kで117fpsでした。
RADEON有利なゲームなので、平均フレームレートは、RX 9070 XTだけでなく、RX 9060 XTも下回ります。
Monster Hunter Wildsの平均fps


・画質:ウルトラ
・レイトレーシング:高
・アップスケーリング:DLSS/FSRクオリティ
・フレーム生成:オン
※ベンチマークソフトで計測


RTX 5070の平均フレームレートは、フルHDで135fps、WQHDで114fps、4Kで68fpsでした。
ウルトラ設定では、VRAM消費が8GBを超えるため、VRAM8GBのGPUでは平均フレームレートが落ちこみますが、RTX 5070はVRAM12GB搭載しているので、VRAM不足の兆候は確認できません。
RADEON有利なゲームなので、平均フレームレートで、RX 9070 XTを下回りますが、RX 9060 XTを上回っているので、十分健闘しています。
Cyberpunk 2077の平均fps


・画質:オーバードライブ
・アップスケーリング:DLSS/FSRクオリティ
・フレーム生成:オン
※ベンチマークモードで計測


RTX 5070の平均フレームレートは、フルHDで244fps、WQHDで156fps、4Kで83fpsでした。
オーバードライブ設定にすると自動的にパストレーシングが有効になり、パストレーシング性能が低いRADEONは苦戦します。
さらにNVIDIAのGPUはMFGも使用可能です。
そのため、平均フレームレートでR X 9070 XTを大きく上回ります。
Marvel Rivalsの平均fps


・画質:最高
・アップスケーリング:DLSS/FSR/XeSSクオリティ
・フレーム生成:オン
※ベンチマークモードで計測


RTX 5070の平均フレームレートは、フルHDで332fps、WQHDで257fps、4Kで167fpsでした。
MFG×4を有効にすることで、RX 9070 XTを大幅に上回る平均フレームレートを出せます。
FFXIV: 黄金のレガシーの平均fps


・画質:最高
※ベンチマークソフトで計測


RTX 5070の平均フレームレートは、フルHDで226fps、WQHDで159fps、4Kで82fpsでした。
このゲームはNVIDIAに最適化されているため、平均フレームレートでRX 9060 XTを大きく上回っています。ただ、RX 9070 XTとの比較では若干下回りました。
Stellar Bladeの平均fps


・画質:とても高い
・アップスケーリング:DLSS/FSRクオリティ
・フレーム生成:オン
※1分間走ってフレームレートを計測


RTX 5070の平均フレームレートは、フルHDで535fps、WQHDで372fps、4Kで234fpsでした。
MFG×4を有効にすることで、フルHDで脅威の平均500fpsを超え、RX 9070 XTを大幅に上回っています。
F1 25の平均fps


・画質:超最大
・アップスケーリング:DLSS/FSR/XeSSクオリティ
・フレーム生成:オン
※ベンチマークモードで計測


RTX 5070の平均フレームレートは、フルHDで283fps、WQHDで175fps、4Kで77fpsでした。
超最大設定にするとパストレーシングが有効になり、負荷は非常に重くなります。そのため、パストレーシング性能が低いRADEON勢は苦戦しています。
さらにNVIDIAのGPUはMFG×4を有効にしています。
そのため、平均フレームレートは、RX 9070 XTを大幅に上回っています。
RTX 5070の消費電力


ラトックシステムのワットチェッカーの「RS-BTWATCH2」を使用し、GPU単体ではなく、システム全体の消費電力を測定します。
上記の表は、FFXIV: 黄金のレガシーベンチマーク(4K・最高設定)実行中の平均・最大消費電力をまとめたものです。
RTX 5070の消費電力は、RX 9060 XT、RTX 5060 Tiを上回りますが、RX 9070 XT、RTX 5070 Tiを大幅に下回ります。
RTX 5070のレビューまとめ


- MFGを使うと爆発的にフレームレートを伸ばすことが可能
- WQHDゲーミングに最適
- ゲームによっては4Kゲームも十分可能
- ワットパフォーマンスは優秀
- ゲームによってはRX 9070 XTを上回る
- 負荷の重い設定だとVRAM不足に陥る可能性もある
「RTX 5070」は、まさにWQHD(2560×1440)解像度におけるゲーミングの最適解としてふさわしいGPUです。
特筆すべきは、余裕の12GBの大容量VRAMです。これにより、WQHD環境ではVRAM不足によるカクつきの心配はほぼなく、グラフィックの設定などを気にせず快適なプレイが可能です。
さらに、驚くべきはそのポテンシャルの高さ。設定次第では4Kゲーミングも十分にプレイ可能な性能を秘めています。
NVIDIA独自の強力な機能も見逃せません。MFG(マルチフレーム生成)有効時の爆発的なフレームレートの向上と、強力なレイトレーシング/パストレーシング性能により、競合のRX 9070 XTを上回るゲーム性能を発揮します。
ただし、注意点として、4Kでグラフィック設定を最高、レイトレーシングを最大(VRAMを大量に消費する設定)にするような極限の高負荷環境では、さすがにVRAMがボトルネックになる可能性があります。
この場合は、画質設定を微調整することで、最高のゲーム体験を維持できます。
RTX 5070のおすすめゲーミングPC
【H26series】Ryzen7 9700x・RTX 5070


| 【H26series】Ryzen7 9700x・RTX 5070のスペック | |
|---|---|
| OS | Windows 11 home |
| CPU | Ryzen 7 9700x |
| GPU | RTX 5070 16GB |
| CPUクーラー | 空冷 |
| メモリ | 32GB(16GB×2) |
| ストレージ | 1TB(M.2 SSD) |
| マザーボード | MSI B850 |
| 電源 | 850W 80 PLUS GOLD |
| 無線LAN | 無し |
| 保証期間 | 1年 |
| 価格 | 214,800円 ※クーポン「OZM2501」適用価格 |
まとめ
RTX 5070は、WQHD(2560×1440)ゲーマーにとって最良のGPUです。
特筆すべきは、余裕を持った12GBのVRAM容量。
これにより、WQHDくらいまでであれば、重量級タイトルでもVRAMを気にせず、美麗なグラフィックを最高設定で堪能できます。
よくある質問まとめ
- RTX 5070搭載モデルは初心者におすすめですか?
-
一番安いモデルであれば、10万円代で購入でき、さらにCPUのグレードを上げても20万円代前半で購入できるので、初心者にもおすすめです。
- RTX 5070でも4Kゲームは楽しめる?
-
今回の検証でもわかったように、大抵のゲームは4Kでも遊べるゲーム性能を持っています。ただし、極限の高負荷設定では、VRAM12GBでは不足する可能性があります。その際はグラフィックの設定を下げる必要があります。
- CPUは何がおすすめですか?
-
RTX 5070のゲーム性能は高いです。RTX 5070のゲーム性能を発揮させるには、相応のCPUが必要です。おすすめはRyzen 7 9700Xあたりです。

コメント