Ryzen 7 7700は、2023年1月に発売されたAMDのデスクトップ向けCPUです。
ハイエンド寄りのRyzen 7 7700Xと異なり、末尾にXがなく、より扱いやすいCPUとなりました。
実際、TDPで比較すると、Ryzen 7 7700Xは105Wなのに対して、Ryzen 7 7700は65Wに抑えられています。
今回の記事では他のCPUと比較して、Ryzen 7 7700の基本ベンチマーク、ゲームでのフレームレート、クリエイティブ作業での実力を徹底検証します。
Ryzen 7 7700の仕様

| Ryzen 7 7700 | Ryzen 7 5700X | |
| アーキテクチャー | Zen 4アーキテクチャ | Zen 3アーキテクチャ |
| プラットフォーム | Socket AM5 | Socket AM4 |
| コア数 | 8 | 8 |
| スレッド数 | 16 | 16 |
| ベースクロック | 3.8GHz | 3.4GHz |
| ブーストクロック | 5.3GHz | 4.6GHz |
| L2キャッシュ | 8MB | 4MB |
| L3キャッシュ | 32MB | 32MB |
| TDP | 65W | 65W |
| 対応メモリ | DDR5-5200 | DDR4-3200 |
| グラフィックス機能 | Radeon Graphics | なし |
| 参考価格 ※2025年12月 | 46,663円 | 22,800円 |
Ryzen 7 7700は冒頭でも話した通り、Ryzen 7 7700Xから動作クロックを下げ、TDPを65Wに抑えてより扱いやすくしたCPUです。
そのため、実質的に、同じTDP65WのRyzen 7 5700Xの後継モデルと言えます。
Ryzen 7 7700のスペックはRyzen 7 5700Xと比べると全体的に似通っていますが、最も異なる点がアーキテクチャーです。
Ryzen 7 5700XはZen 3アーキテクチャなのに対して、Ryzen 7 7700はZen 4アーキテクチャなので、性能は大きく進化しています。
CPU-Zで取得したRyzen 7 7700の情報を見る

検証環境
検証機のスペック

| パーツ | 製品名 |
|---|---|
| マザーボード | GIGABYTE B850 AORUS ELITE WIFI7 ICE |
| ビデオカード | 玄人志向 RD-RX9070XT-E16GB/TP |
| CPUクーラー | PCCOOLER GAME ICE K4 |
| メモリ | Kingston FURY Renegade DDR5 RGB メモ (16GB×2、DDR5-4800) |
| システム用SSD | WD_BLACK SN770 NVMe |
| アプリケーション用SSD | Kingston NV3 |
| 電源 | MSI MAG A850GL PCIE5 |
| PCケース | 長尾製作所 SMZ-2WBT-ATX |
| OS | Windows 11 HOME(24H2) |
| 電源プラン | バランス |
検証環境は、一般的なBTOパソコンと同じような構成です。特に高価なパーツは使用していません。またCPUの設定はオーバークロックなどは一切せず、デフォルトの状態です。

ビデオカードは、RADEONのRX 9070 XTを使用。Ryzen 7 7700がどれだけRX 9070 XTのゲーム性能を引き出せるのか検証します。
比較対象のCPU

Ryzen 7 7700の比較対象として下記のCPUを用意しました。
- Core i7-14700F
- Core Ultra 7 265F
- Ryzen 7 9800X3D
- Ryzen 7 7800X3D
- Ryzen 7 9700X
- Ryzen 7 5700X
Ryzen 7 7700の基本ベンチマーク
CINEBENCH 2024
レンダリングベンチマークの最新バージョンのCINEBENCH 2024で、CPUの性能を計測します。
まず、マルチスコアです。
Ryzen 7 7700のマルチスコアは、8コア16スレッドということでなかなか高く、Ryzen 7 7800X 3Dとほぼ同等のスコアです。
Ryzen 7 5700Xからは大幅にスコアアップしています。
続いて、シングルスコアです。ゲームにおいてはシングル性能が重要なので、ゲーム目的であればこちらのスコアも要注目です。
Ryzen 7 7700のシングルスコアはRyzen 7 7800X3Dとほぼ同等で、Ryzen 7 5700Xを大幅に上回っています。
Zen 4アーキテクチャとなったことで、シングル性能は強化され、Ryzen 7 5700Xとの差は開いています。
3D Mark
GPU(グラフィックボード)の3D描画性能を計測する3D Markです。
DirectX 11に対応するテストのFire Strikeです。フルHD解像度でテストするので、負荷は軽めでCPU性能がスコアに影響します。
Ryzen 7 7700のスコアはRyzen 7 5700Xを大きく上回り、Ryzen 7 7800X3Dに肉薄しています。
Ryzen 7 7700のゲームベンチマーク
Assassin’s Creed Shadows

・解像度:フルHD
・画質:最高
・レイトレーシング:隠れ家のみ
・アップスケーリング:DLSSクオリティ
・フレーム生成:有効
Ryzen 7 7700の平均fpsは今回検証したCPUの中では最も低く、Ryzen 7 5700Xを若干下回っています。
とはいっても、ほぼ誤差の範囲内で、各CPUで差はほとんどありません。しいて言うなら、若干インテルCPUが有利な印象です。
Monster Hunter Wilds

・解像度:フルHD
・画質:ウルトラ
・レイトレーシング:高
・アップスケーリング:FSRクオリティ
・フレーム生成:オン
※ベンチマークソフトで計測
Ryzen 7 7700の平均fpsはCore i7-14700F、Ryzen 7 5700Xを大幅に上回り、Core Ultra 7 265Fとほぼ同等です。
Cyberpunk 2077

・解像度:フルHD
・画質:ウルトラ
・アップスケーリング:FSRクオリティ
・フレーム生成:オン
※ベンチマークモードで計測
Ryzen 7 7700の平均fpsはRyzen 7 5700Xを大幅に上回り、さらにCoer Ultra 7 265Fも若干上回っています。
Marvel Rivals

・解像度:フルHD
・画質:最高※ルーメンオフ
・アップスケーリング:FSRクオリティ
・フレーム生成:オン
※ベンチマークモードで計測
Ryzen 7 7700の平均fpsはRyzen 7 5700Xを大幅に上回り、Core i7-14700Fとほぼ同等です。
FFXIV: 黄金のレガシー

・解像度:フルHD
・画質:最高
※ベンチマークソフトで計測
Ryzen 7 7700の平均fpsはCore Ultra 7 265F、Ryzen 7 5700X、Core i7-14700Fを上回っています。
Deus Ex: Mankind Divided

・解像度:フルHD
・画質:ウルトラ
※ベンチマークモードで計測
Ryzen 7 7700の平均fpsはRyzen 7 5700Xを大幅に上回り、Core Ultra 7 265Fとほぼ同等です。
Fotnite

・解像度:フルHD
・画質:最高※Naniteオフ
・アップスケーリング:XeSSクオリティ
※ベンチマークモードで計測
Ryzen 7 7700の平均fpsはRyzen 7 5700Xを大きく上回り、Core i7-14700Fとほぼ同等です。
Skull and Bones

・解像度:フルHD
・画質:ウルトラ※レイトレーシングオフ
・アップスケーリング:FSRクオリティ
※ベンチマークモードで計測
Ryzen 7 7700の平均fpsはRyzen 7 5700Xを大幅に上回り、Core Ultra 7 265Fとほぼ同等です。
Ryzen 5 7500Fと比較して、若干下回っていますが、Core i5-14400Fに対しては、大幅に上回っています。
Tom Clancy’s Rainbow Six Siege X

・解像度:フルHD
・画質:ウルトラ+
・アップスケーリング:FSRクオリティ
※ベンチマークモードで計測
Ryzen 7 7700の平均fpsはRyzen 7 5700Xを大きく上回り、Core Ultra 7 265Fとほぼ同等です。
全9ゲームの平均fps
全9ゲームの平均fpsです。
Ryzen 7 7700のゲーム性能はRyzen 7 5700Xを大きく上回るだけでなく、Coer Ultra 7 265F、Core i7-14700Fも上回り、非常に優秀です。
ただ、後継のRyzen 7 9700Xと比較した場合、かなりの差をつけられてゲーム性能は下回ります。
Ryzen 7 7700のクリエイティブ系ベンチマーク
PC Mark 10
PCMark 10は、Windows PCの総合的な性能を評価するための業界標準のベンチマークソフトです。下記の3つの要素でベンチマークを行い、スコアを算出します。
- Essentials (基本性能):Webブラウジング、ビデオ会議、アプリの起動時間など、毎日の基本的なニーズを満たすための性能を測定します
- Productivity (生産性):スプレッドシート(表計算)やライティング(文章作成)など、一般的なオフィス作業における性能を測定します。
- Digital Content Creation (デジタルコンテンツ制作):写真編集、動画編集、レンダリングなど、負荷の高いクリエイティブな作業における性能を測定します。
なお今回は、設定をカスタマイズできる、PCMark 10 Extendedを実行します。GPUがスコアへ影響するのを防ぐために、「Use OpenCL」と「Use hardware-accelerated video processing」を無効化するためです。
Ryzen 7 7700のスコアはRyzen 7 5700Xを大きく上回り、Ryzen 7 9700Xとほぼ同等です。
Ryzen 7 7700のスコアはRyzen 7 5700Xを大きく上回り、Ryzen 7 7800X3Dとほぼ同等です。
Ryzen 7 7700のスコアはRyzen 7 5700Xを大きく上回るだけでなく、Ryzen 7 7800X3D、Core i7-14700を若干上回ります。
Blender benchmark
Blender Benchmarkは、オープンソースの3Dソフトウェア「Blender」におけるPCのレンダリング性能を計測するための公式ベンチマークツールです。今回はGPUではなく、CPUでレンダリングして性能を計測します。
Ryzen 7 7700のスコアはRyzen 7 5700Xを大きく上回るだけでなく、Ryzen 7 7800X3Dとほぼ同等です。
Aviutlでのエンコード
無料の動画編集ソフトのAviutlで、x264コーデックでエンコードにかかった時間を計測します。素材は10分間のmov形式の4K動画です。
Ryzen 7 7700のエンコードにかかった時間は13分54秒でした。Ryzen 7 5700Xと比較して、約5分早く処理を終えています。
Ryzen 7 7700の消費電力
CINEBENCH 2024を10分間連続で実行し、CPUの単体の消費電力を「HWiNFO」で計測しました。
Ryzen 7 7700の平均消費電力は89W、最大消費電力は90Wでした。全体的にRyzen 7 9700Xより若干消費電力は高い印象です。
Ryzen 7 5700Xと比較した場合、消費電力は増えていますがその分、性能は大幅アップなので、Ryzen 7 5700Xよりはワットパフォーマンスは確実に上です。
Ryzen 7 7700のレビューまとめ

- ゲーミング性能はRyzen 7 5700Xを大きく上回る
- ゲーミング性能はCorer Ultra 7 265F、Corer i7-14700Fを上回る
- コストパフォーマンスが高い
- 消費電力が低い
- Ryzen 7 9700Xと比べると一段階性能が落ちる
- CPU単体の価格が高騰
Ryzen 7 7700はRyzen 7 5700Xから大幅に性能アップを遂げており、Zen 4アーキテクチャの優秀さを示しています。
実際、ゲーム性能も、Ryzen 7 5700Xだけでなく、ライバルのインテルCPUのCore i7-14700F、Coer Ultra 7 265Fも上回っています。
ただ、後継のZen 5アーキテクチャを採用したRyzen 7 9700X、L3キャッシュを大量に搭載したRyzen 7 7800X3D、Ryzen 7 9800X3Dと比べると、ゲーム性能は明確に劣ります。
また、CPU単体の価格は高騰しており、後継モデルのRyzen 7 9700Xよりも高価になっています。現在、Ryzen 7 7700単体で購入するのはおすすめできません。
ただし、BTOだとRyzen 7 7700搭載モデルはお得です。、例えば、Core i7-14700F搭載モデルと比べて2万円近く安い場合があります。

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