Ryzen 7 7800X3Dは、2023年4月に発売されたAMDのデスクトップ向けCPUです。
ZEN4アーキテクチャーを採用した、Ryzen 7000シリーズのCPUですが、3D V-Cacheテクノロジーを採用し、96MBという大容量のL3キャッシュを搭載しています。
それによって強力なゲーム性能を実現しています。
今回の記事では他のCPUと比較して、Ryzen 7 7800X3Dの基本ベンチマーク、ゲームでのフレームレート、クリエイティブ作業での実力を徹底検証します。
Ryzen 7 7800X3Dの仕様

| Ryzen 7 7800X3D | Ryzen 7 9800X3D | |
| アーキテクチャー | Zen 4アーキテクチャ | Zen 5アーキテクチャ |
| プラットフォーム | Socket AM5 | Socket AM5 |
| コア数 | 8 | 8 |
| スレッド数 | 16 | 16 |
| ベースクロック | 4.2GHz | 4.7GHz |
| ブーストクロック | 5GHz | 5.2GHz |
| L2キャッシュ | 8MB | 8MB |
| L3キャッシュ | 96MB | 96MB |
| TDP | 120W | 120W |
| 対応メモリ | DDR5-5200 | DDR5-5600 |
| グラフィックス機能 | Radeon Graphics | Radeon Graphics |
| 参考価格 ※2025年12月 | 51,980円 | 67,970円 |
Ryzen 7 7800X3DはZEN4アーキテクチャーを採用したRyzen 7000シリーズのCPUです。
最大の特徴が3D V-Cacheテクノロジーを採用していることです。
それによって、コア上に96MBという大容量のL3キャッシュを搭載しています。そのおかげで、ゲーム性能は従来のCPUに比べて飛躍的に上昇しています。
後継のRyzen 7 9800X3Dも同じ3D V-Cacheテクノロジーを採用しています。Zen 5アーキテクチャへの進化、3D V-Cacheが第2世代へと進化とゲーム性能はさらに磨きがかけられています。
CPU-Zで取得したRyzen 7 7800X3Dの情報を見る

検証環境
検証機のスペック

| パーツ | 製品名 |
|---|---|
| マザーボード | GIGABYTE B850 AORUS ELITE WIFI7 ICE |
| ビデオカード | 玄人志向 RD-RX9070XT-E16GB/TP |
| CPUクーラー | PCCOOLER GAME ICE K4 |
| メモリ | Kingston FURY Renegade DDR5 RGB メモ (16GB×2、DDR5-4800) |
| システム用SSD | WD_BLACK SN770 NVMe |
| アプリケーション用SSD | Kingston NV3 |
| 電源 | MSI MAG A850GL PCIE5 |
| PCケース | 長尾製作所 SMZ-2WBT-ATX |
| OS | Windows 11 HOME(24H2) |
| 電源プラン | バランス |
検証環境は、一般的なBTOパソコンと同じような構成です。特に高価なパーツは使用していません。またCPUの設定はオーバークロックなどは一切せず、デフォルトの状態です。

ビデオカードは、RADEONのRX 9070 XTを使用。Ryzen 7 7800X3DがどれだけRX 9070 XTのゲーム性能を引き出せるのか検証します。
比較対象のCPU

Ryzen 7 7800X3Dの比較対象として下記のCPUを用意しました。
- Core i7-14700F
- Core Ultra 7 265F
- Ryzen 7 9800X3D
- Ryzen 7 9700X
- Ryzen 7 7700
- Ryzen 7 5700X
Ryzen 7 7800X3Dの基本ベンチマーク
CINEBENCH 2024
レンダリングベンチマークの最新バージョンのCINEBENCH 2024で、CPUの性能を計測します。
まず、マルチスコアです。
Ryzen 7 7800X3Dのマルチスコアは、同じ8コア16スレッドのRyzen 7 7700とほぼ同等です。
続いて、シングルスコアです。ゲームにおいてはシングル性能が重要なので、ゲーム目的であればこちらのスコアも要注目です。
Ryzen 7 7800X3Dのシングルスコアはマルチスコアと似たような傾向で、Ryzen 7 7700とほぼ同等です。
3D Mark
GPU(グラフィックボード)の3D描画性能を計測する3D Markです。
DirectX 11に対応するテストのFire Strikeです。フルHD解像度でテストするので、負荷は軽めでCPU性能がスコアに影響します。
Ryzen 7 7800X3DのスコアはRyzen 7 9800X3Dを大きく下回り、Ryzen 7 9700Xとほぼ同等です。
Ryzen 7 7800X3Dのゲームベンチマーク
Assassin’s Creed Shadows

・解像度:フルHD
・画質:最高
・レイトレーシング:隠れ家のみ
・アップスケーリング:DLSSクオリティ
・フレーム生成:有効
Ryzen 7 9700Xの平均fpsはRyzen 7 9700X、Core Ultra 7 265Fとほぼ同等です。
このゲームはGPU依存度が高く、CPUによる差はあまりありません。若干インテルCPUが有利な印象です。
Monster Hunter Wilds

・解像度:フルHD
・画質:ウルトラ
・レイトレーシング:高
・アップスケーリング:FSRクオリティ
・フレーム生成:オン
※ベンチマークソフトで計測
Ryzen 7 7800X3Dの平均fpsはRyzen 7 9700Xを大幅に上回っていますが、Ryzen 7 9800X3Dを下回っています。
Cyberpunk 2077

・解像度:フルHD
・画質:ウルトラ
・アップスケーリング:FSRクオリティ
・フレーム生成:オン
※ベンチマークモードで計測
Ryzen 7 7800X3Dの平均fpsはRyzen 7 9700Xを大幅に上回っていますが、Ryzen 7 9800X3Dを下回っています。
Marvel Rivals

・解像度:フルHD
・画質:最高※ルーメンオフ
・アップスケーリング:FSRクオリティ
・フレーム生成:オン
※ベンチマークモードで計測
Ryzen 7 7800X3Dの平均fpsはRyzen 7 9700Xを大幅に上回っていますが、逆にRyzen 7 9800X3Dを大幅に下回っています。
このゲームに関しては、Ryzen 7 9800X3Dのゲーム性能の強さが発揮されています。
FFXIV: 黄金のレガシー

・解像度:フルHD
・画質:最高
※ベンチマークソフトで計測
Ryzen 7 7800X3Dの平均fpsはRyzen 7 9700Xを大幅に上回っていますが、Ryzen 7 9800X3Dを下回っています。
Deus Ex: Mankind Divided

・解像度:フルHD
・画質:ウルトラ
※ベンチマークモードで計測
Ryzen 7 7800X3Dの平均fpsはRyzen 7 9700Xを大幅に上回っていますが、Ryzen 7 9800X3Dを下回っています。
Fotnite

・解像度:フルHD
・画質:最高※Naniteオフ
・アップスケーリング:XeSSクオリティ
※ベンチマークモードで計測
Ryzen 7 7800X3Dの平均fpsはRyzen 7 9700Xを若干上回り、Ryzen 7 9800X3Dを若干下回ります。
Skull and Bones

・解像度:フルHD
・画質:ウルトラ※レイトレーシングオフ
・アップスケーリング:FSRクオリティ
※ベンチマークモードで計測
Ryzen 7 7800X3Dの平均fpsはRyzen 7 9700Xを若干上回り、Ryzen 7 9800X3Dを若干下回ります。
Tom Clancy’s Rainbow Six Siege X

・解像度:フルHD
・画質:ウルトラ+
・アップスケーリング:FSRクオリティ
※ベンチマークモードで計測
Ryzen 7 7800X3Dの平均fpsはRyzen 7 9700Xを上回り、Ryzen 7 9800X3Dとほぼ同等です。
このゲームに関しては、Ryzen 7 9800X3Dとの差はほとんどありません。
全9ゲームの平均fps
全9ゲームの平均fpsです。
Ryzen 7 7800X3Dのゲーム性能はRyzen 7 9700Xを上回り、優秀なゲーム性能を発揮しています。
Ryzen 7 9700XはRyzen 9000シリーズということで、Ryzen 7 7800X3Dよりも新しいアーキテクチャーを採用していますが、やはり3DVキャッシュが有るRyzen 7 7800X3Dの方がゲーム性能は上です。
Ryzen 7 7800X3Dのクリエイティブ系ベンチマーク
PC Mark 10
PCMark 10は、Windows PCの総合的な性能を評価するための業界標準のベンチマークソフトです。下記の3つの要素でベンチマークを行い、スコアを算出します。
- Essentials (基本性能):Webブラウジング、ビデオ会議、アプリの起動時間など、毎日の基本的なニーズを満たすための性能を測定します
- Productivity (生産性):スプレッドシート(表計算)やライティング(文章作成)など、一般的なオフィス作業における性能を測定します。
- Digital Content Creation (デジタルコンテンツ制作):写真編集、動画編集、レンダリングなど、負荷の高いクリエイティブな作業における性能を測定します。
なお今回は、設定をカスタマイズできる、PCMark 10 Extendedを実行します。GPUがスコアへ影響するのを防ぐために、「Use OpenCL」と「Use hardware-accelerated video processing」を無効化するためです。
Ryzen 7 7800X3DのスコアはRyzen 7 9700Xとほぼ同等ですが、Ryzen 7 9800X3Dを大幅に下回ります。
Ryzen 7 7800X3DのスコアはRyzen 7 7700とほぼ同等ですが、Ryzen 7 9800X3Dを大幅に下回っています。
Ryzen 7 7800X3DのスコアはCore i7-14700Fとほぼ同等ですが、Ryzen 7 9800X3Dを大幅に下回ります。
Blender benchmark
Blender Benchmarkは、オープンソースの3Dソフトウェア「Blender」におけるPCのレンダリング性能を計測するための公式ベンチマークツールです。今回はGPUではなく、CPUでレンダリングして性能を計測します。
Ryzen 7 7800X3DのスコアはRyzen 7 7700とほぼ同等ですが、Ryzen 7 9800X3Dを大幅に下回ります。
Aviutlでのエンコード
無料の動画編集ソフトのAviutlで、x264コーデックでエンコードにかかった時間を計測します。素材は10分間のmov形式の4K動画です。
Ryzen 7 7800X3Dのエンコードにかかった時間は13分40秒でした。Ryzen 7 9800X3Dと比較して、約1分40秒遅く処理を終えています。
Ryzen 7 7800X3Dの消費電力
CINEBENCH 2024を10分間連続で実行し、CPUの単体の消費電力を「HWiNFO」で計測しました。
Ryzen 7 7800X3Dの平均消費電力は74W、最大消費電力は78Wでした。今回検証したRyzenシリーズの中では最も消費電力が低いです。特にRyzen 7 9800X3Dと比べた場合、消費電力は大幅に低いです。
Ryzen 7 7800X3Dのレビューまとめ

- 最強格のゲーム性能
- コストパフォーマンスが高い
- 消費電力が低い
- Ryzen 7 9800X3Dより扱いやすい
- ゲーム性能はRyzen 7 9800X3Dと比較すると一段階落ちる
- クリエイティブ性能は高くない※3DVキャッシュは関係ないため
Ryzen 7 7800X3Dは3DVキャッシュのおかげで、最強格のゲーム性能を発揮します。
Coer i7-14700FやCore Ultar 7 265Fはもちろん、Ryzen 9000シリーズのRyzen 7 9700Xよりも優秀なゲーム性能を発揮します。
さすがに後継のRyzen 7 9800X3Dと比べた場合、一段階ゲーム性能は落ちますが、それでもゲーム性能最強格のCPUの一つとして間違いありません。
また、Ryzen 7 9800X3Dと比べて消費電力、発熱も低く、扱いやすいのも魅力的です。
扱いやすさを重視しているのであれば、あえてRyzen 7 7800X3Dを選ぶのもいいかもしれません。

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