RTX 5060は、2025年5月20日に発売されたRTX 50シリーズのミドルレンジモデルに位置付けられるGPUです。
先代のRTX 4060からスペックが進化しただけでなく、 フレーム1枚あたり最大3つのフレームを生成できるMFGに対応するなど、大きく進化しました。
本記事では、RTX 5060の基本性能や特徴を詳しく解説し、実際のゲームでのパフォーマンスを検証します。最後にRTX 5060搭載のおすすめゲーミングPCを紹介します。
RTX 5060の基本スペックを解説
| RTX 4060 | RTX 5060 | |
|---|---|---|
| アーキテクチャー | Ada Lovelace | Blackwell |
| SM | 24基 | 30基 |
| CUDAコア | 3,072基 | 3,840基 |
| RTコア | 24基(Gen3) | 30基(Gen4) |
| Tensorコア | 96基(Gen4) | 120基(Gen5) |
| L2キャッシュ | 24MB | 24MB |
| ベース/ブーストクロック | 1,830MHz / 2,460MHz | 2,280MHz / 2,497MHz |
| VRAM | GDDR6 8GB | GDDR7 8GB |
| メモリーデータレート | 17Gbps | 28Gbps |
| メモリーバス幅 | 128bit | 128bit |
| メモリー帯域 | 272GB/s | 448GB/s |
| PCI-Express | Gen4×8 | Gen5×8 |
| グラフィックスカード電力 | 115W | 145W |
先代モデルのRTX 4060と比べると、全体的にスペックが向上しています。特にSM数、CUDAコア数に関しては約22%増加しています。
さらに、VRAMは、GDDR6からGDDR7に進化しています。
これによって、メモリー帯域も約49%増加しており、より高負荷な処理に期待持てるようになりました。
ビデオカード単体の価格は4万円代中盤を維持している印象です。
RTX 5060の特徴
MFGに対応

「MFG(Multi Frame Generation)」は、NVIDIAが開発した画期的な新しいフレーム生成技術です。
従来のフレーム生成技術(既存のDLSS FGなど)が1つのレンダリングフレームにつき1つの追加フレームを生成していたのに対し、MFGは最大で3つのフレームを追加生成できます。
これによって、DLSS FGよりも遥かに高いフレームレートを実現し、よりスムーズで快適なゲーム体験が可能です。
ただし、この先進的なMFG技術は、NVIDIAの最新グラフィックボード「RTX 50シリーズ」でのみ利用可能な限定機能です。もちろん、RTX 5060も対応しています。

MFGはNVIDIA AppからDLSSオーバーライドすることで設定できます。

若しくはゲーム上のオプションから直接設定できます。
VRAM8GB

VRAMはGPU専用のメモリで、主にゲーム中に激しく消費します。VRAMにはGPUごとに容量が決まっていて、この容量を超えたとき、ゲームの快適性が損なわれる危険性があります。
具体的にはフレームレートが全くでない、そして最悪、ゲームが起動しないなんてことも。そんなVRAMですが、RTX 5060のVRAM容量は8GBと現代の基準だと少ないです。
高負荷なゲームでは、フルHD解像度ですら、VRAMを8GB以上消費するなんてこともザラにあります。RTX 5060でVRAM不足を感じた場合、グラフィックスの設定を下げて、VRAM消費量を8GB以内に抑える必要があります。
なにがなんでも最高設定のグラフィックでゲームをプレーしたいという方には明確なデメリットと言えます。
検証環境
検証するゲームタイトルについて
ここからはゲームベンチマークでRTX 5060のゲーム性能を検証します。
検証したゲームタイトルは下記の8タイトルです。
- Assassin’s Creed Shadows
- Ghost of Tsushima
- Monster Hunter Wilds
- Cyberpunk 2077
- Marvel Rivals
- FFXIV: 黄金のレガシー
- Stellar Blade
- F1 25
ゲームのグラフィックはそのゲーム内の最高設定にしています。また、フレーム生成は有効にし、MFG対応ゲームにおいてはMFG×4に設定しています。
比較対象のグラボ
RTX 5060の比較対象として下記のグラボを用意しました。
- RTX 5060 Ti(VRAM16GB)
- RTX 5050(VRAM8GB)
- RTX 4060(VRAM8GB)
- RX 9060 XT(VRAM16GB)
- RX 7600(VRAM8GB)
- Arc B580(VRAM12GB)
RTX 5060 Ti、RX 9060 XTはVRAM16GB搭載モデルを使用しています。

3Dグラフィックス性能測定のためのベンチマークソフトで、今回検証に使用したGPUのスコアを比較しました。
ラスタライズ性能をテストするSteel Nomad、レイトレーシング性能をテストするSpeed Wayの2種類のテストを使用しました。
RTX 5060のスコアは先代モデルのRTX 4060からSteel Nomadでは約34%、Speed Wayでは約27%上回り、大幅にスコアアップしています。
RX 9060 XTとの比較でも、Steel Nomadでは下回っていますが、Speed Wayでは上回っています。レイトレーシング性能もミドルクラス帯のGPUとして考えると、優秀です。
検証機のスペック

| パーツ | 製品名 |
|---|---|
| マザーボード | ASUS ROG STRIX B650-A GAMING WIFI |
| CPU | Ryzen 7 7800X3D |
| ビデオカード | ZOTAC GAMING GeForce RTX 5050 SOLO |
| CPUクーラー | PCCOOLER GAME ICE K4 |
| メモリ | Kingston FURY Renegade DDR5 RGB メモ (16GB×2、DDR5-4800) |
| システム用SSD | WD_BLACK SN770 NVMe |
| アプリケーション用SSD | Kingston NV3 |
| 電源 | MSI MAG A850GL PCIE5 |
| PCケース | 長尾製作所 SMZ-2WBT-ATX |
| OS | Windows 11 HOME(24H2) |
| 電源プラン | バランス |
CPUにはRyzen 7 7800X3Dを使用しています。3DVキャッシュを搭載しており、ゲーム性能が非常に高いCPUです。RTX 5060の性能を最大限引き出すことができます。


「玄人志向 GG-RTX5060-E8GB/LE/DF」です。カード長は235mmと短いシングルファン仕様のコンパクトなモデルです。ライティングに対応しており、ファンが光ります。バックプレートもしっかりあります。
RTX 5050のゲーム性能
Assassin’s Creed Shadowsの平均fps

・画質:最高
・レイトレーシング:全体的に拡散+反射
・アップスケーリング:DLSS/FSR/XeSSクオリティ
・フレーム生成:有効

RTX 5060の平均フレームレートは、フルHDで105fps、WQHDで88fpsでした。
MFG×4を有効にすることで、RTX 4060の倍近くの平均フレームレートを出せます。
Ghost of Tsushimaの平均fps

・画質:非常に高い
・アップスケーリング:DLSS/FSRクオリティ
・フレーム生成:オン
※1分間フィールドを馬で駆け抜けてるときに計測

RTX 5060の平均フレームレートは、フルHDで118fps、WQHDで101fpsでした。
平均フレームレートで、若干、RTX 4060を上回りますが、Arc B580を若干下回ります。
Monster Hunter Wildsの平均fps

・画質:ウルトラ
・レイトレーシング:高
・アップスケーリング:DLSS/FSRクオリティ
・フレーム生成:オン
※ベンチマークソフトで計測

RTX 5060の平均フレームレートは、フルHDで39fps、WQHDで26fpsでした。
ウルトラ設定では、VRAM消費が8GBを超えるため、RTX 5060を含むVRAM8GBのGPUの平均フレームレートは大きく伸び悩んでいます。
RTX 5060で平均60fps以上を出すには、グラフィックの設定を下げる必要があります。

RX 7600もVRAM 8GBですが平均60fpsを超えています。ただ、テクスチャを簡略化しているため、無理やりフレームレートを出している感じです。
Cyberpunk 2077の平均fps


・画質:オーバードライブ
・アップスケーリング:DLSS/FSRクオリティ
・フレーム生成:オン
※ベンチマークモードで計測


RTX 5050の平均フレームレートは、フルHDで39fps、WQHDで22fpsでした。
オーバードライブ設定にすると自動的にパストレーシングが有効になり、VRAM消費が8GBを超えます。そのため、VRAM8GBのRTX 5060の平均fpsは伸び悩んでいます。もちろん、RTX 5050以外のVRAM8GBのGPUも同様です。
MFGはフレームレートを一定数出す必要があるので、VRAM不足だと全く効果が表れません。
Marvel Rivalsの平均fps


・画質:最高
・アップスケーリング:DLSS/FSR/XeSSクオリティ
・フレーム生成:オン
※ベンチマークモードで計測


RTX 5060の平均フレームレートは、フルHDで211fps、WQHDで152fpsでした。
MFG×4を有効にすることで、フルHDで平均200fpsを超えるフレームレートを出せます。
FFXIV: 黄金のレガシーの平均fps


・画質:最高
※ベンチマークソフトで計測


RTX 5060の平均フレームレートは、フルHDで150fps、WQHDで97fpsでした。
平均フレームレートでRX 9060 XTを若干上回っています。
Stellar Bladeの平均fps


・画質:とても高い
・アップスケーリング:DLSS/FSRクオリティ
・フレーム生成:オン
※1分間走ってフレームレートを計測


RTX 5060の平均フレームレートは、フルHDで358fps、WQHDで233fpsでした。
MFG×4を有効にすることで、フルHDで平均300fpsを超えるフレームレートを出せます。
F1 25の平均fps


・画質:超最大
・アップスケーリング:DLSS/FSR/XeSSクオリティ
・フレーム生成:オン
※ベンチマークモードで計測


RTX 5060の平均フレームレートは、フルHDで159fps、WQHDで65fpsでした。
超最大設定にするとパストレーシングが有効になり、負荷は非常に重くなります。ただ、RTX 5060はMFG×4を有効にすることで、フルHDで平均150fpsを超えます。
RTX 5060の消費電力


ラトックシステムのワットチェッカーの「RS-BTWATCH2」を使用し、GPU単体ではなく、システム全体の消費電力を測定します。
上記の表は、FFXIV: 黄金のレガシーベンチマーク(4K・最高設定)実行中の平均・最大消費電力をまとめたものです。
RTX 5060の消費電力は、RTX 4060から確実に増えていますが、RX 7600、RX 9060 XT、Arc B580よりは確実に省電力です。
ミドル帯に属しているGPUとして考えると、消費電力はそこまで高くない印象です。
RTX 5060のレビューまとめ


- コストパフォーマンスが高い
- ゲーム性能はRTX 4060を上回る
- MFGを使うとRX 9060 XTを大きく上回るゲーム性能を発揮
- フルHDゲーミングに最適
- WQHDゲーミングも十分可能
- VRAM8GB
- 4Kゲームは厳しい
RTX 5060は、RTX 4060以上のゲーム性能を持ち、その後継モデルにふさわしい進化を遂げています。
ゲーム性能はMFGを使わない状況でもRTX 4060を上回り、さらにMFGを有効にした状態だと、本来格上のVRAM16GB版のRX 9060 XTを大きく上回ります。
ただし、VRAM8GBなのは明確なデメリットです。
VRAM消費が8GBを超えると、フレームレートが全く伸びなくなるからです。
VRAM消費が激しいゲーム、例えばモンハンワイルズなどの平均フレームレートでは、VRAM16GBを搭載したRTX 5060 Ti、RX 9060 XTはもちろん、VRAM12GBを搭載したArc B580にも大きく差をつけられて下回ります。
もしVRAM不足を感じた場合、グラフィックの設定を下げる必要があります。
FortniteのようなVRAM消費が激しくない基本無料のゲームとの相性は良好なので、そういったゲームをなるべく低価格でさらにフレームレートを多く出したいというのであれば、RTX 5060は有力な候補になります。
RTX 5060のおすすめゲーミングPC
【Z1series】Ryzen 7 5700X・RTX5050 8G


| 【Z1series】Ryzen 7 5700X・RTX5050 8Gのスペック | |
|---|---|
| OS | Windows 11 home |
| CPU | Ryzen 7 5700x |
| GPU | RTX 5060 |
| CPUクーラー | 空冷 |
| メモリ | 32GB(16GB×2) |
| ストレージ | 1TB(M.2 SSD) |
| マザーボード | MSI A520M-A PRO |
| 電源 | 650W 80 PLUS BRONZE |
| 無線LAN | 無し |
| 保証期間 | 1年 |
| 価格 | 129,800円 ※クーポン「OZM2501」適用価格 |
まとめ
RTX 5060はRTX 4060から順調にゲーム性能を伸ばし、ミドルクラス帯のGPUとしてまさにお手本と言える存在です。
MFGを使えば、RTX 4060どころか、格上のRX 9060 XTを大きく上回るゲーム性能を発揮するのでポテンシャルは高いです。
10万円台前半の予算でなるべく性能の良いゲーミングPCを探しているのなら、RTX 5060搭載モデルはおすすめできます。
よくある質問まとめ
- RTX 5060搭載モデルは初心者におすすめですか?
-
10万円代前半で購入でき、RTX 4060を上回るゲーム性能を発揮できるので、初めて買うゲーミングPCにふさわしいです。
- VRAM8GBが不安です。
-
確かに重量級のゲームを最高設定でプレーしたい場合、VRAM8GBでは足らない可能性が高いです。ただし、Apex Legendsのような基本無料のゲームはVRAM消費がおとなしいので、そういったゲームをプレーするのであれば問題はありません。
- CPUは何がおすすめですか?
-
RTX 5060はミドルクラス帯のGPUですが、ゲーム性能はRTX 4060を上回るので侮れないゲーム性能を有しています。Ryzen 5 4500のようなゲーム性能が低いCPUだと間違いなくRTX 5060の性能を引き出せません。最低でもRyzen 7 5700 Xあたりをおすすめします。
動画版はこちらから↓。
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