HPからOMEN 35Lをお借りすることができました。
お借りできたのは、GPUにRTX 5070 Ti、CPUにCore Ultra 7 265Kを搭載したホワイトモデルになります。
ゲーム性能、外観、騒音などを検証し、OMEN 35Lの実力を探っていきます。
【貸出機材提供:株式会社日本HP】
OMEN 35Lのスペック
| モデル | ハイパフォーマンスモデルv2 (ホワイト/メッシュ) |
|---|---|
| CPU | Core Ultra 7 265K |
| CPUクーラー | 240mm簡易水冷クーラー(2.1インチ 480×480液晶ディスプレイ) |
| マザーボード | Intel Z890 チップセット |
| グラフィックスカード | NVIDIA GeForce RTX 5070 Ti |
| メモリ | 32GB (16GB×2) DDR5-5600MT/s |
| ストレージ | 2TB M.2 SSD (PCIe Gen 4×4 NVMe) |
| ネットワーク | IEEE 802.11be (Wi-Fi 7)、 Bluetooth5.4 |
| 電源ユニット | 1000W ATX電源、80Plus Gold |
| OS | Windows 11 Home |
| サイズ(幅×奥行き×高さ) | 約 210 × 408 × 410 mm |
| 標準保証 | 1年 |
| 参考価格 | 328,800円(税込) |
OMEN 35Lにはさまざまなモデルがありますが、今回レビューするのは、CPUにCore Ultra 7 265K、GPUにRTX 5070 Tiを搭載した「ハイパフォーマンスモデルv2(ホワイト/メッシュ)」になります。


CPUはインテル Core Ultra 200シリーズのCore Ultra 7 265K。20コア/20スレッドで、Core Ultra 200シリーズの中でもアッパーミドルクラスに位置付けられます。K付きなので、オーバークロックに対応しています。
GPUはNVIDIA RTX 50シリーズのRTX 5070 Ti。RTX 50シリーズの中でも、RTX 5080とRTX 5070の中間に位置する、アッパーミドルクラスのものになります。
VRAMは16GB搭載しており、上位モデルのRTX 5080と同じ搭載量です。

左サイドパネルは強化ガラス製となっており、内部のパーツを外側から眺めることができます。

右サイドパネルは密閉されており、OMENのロゴが施されています。

フロントパネルは無数の通気孔が設けられています。

フロントパネルを外すと、防塵フィルターがあり、これを外すと、240mmのケースファンにアクセスできます。
フロントパネルは簡単に外すことができるので、フロント周りのメンテナンスはやりやすいです。

トップパネルにもフロントパネルのように無数の通気孔が設けられています。防塵フィルタなど特になく、また取り外しも出来ません。

底面には自由に取り外しできる、防塵フィルタがあります。

バックパネルには、マザーボード、ビデオカードのインターフェース、電源のオンオフスイッチがあります。

各パーツ、ライティングに対応しているので、電源をオンにすると外観は一気に華やかになります。
OMEN 35Lのインターフェースをチェック

フロントトップのインターフェースは下記の通りです。
- ヘッドフォン出力/マイク入力コンボポート×1
- USB Type-C 10Gbps ×1
- USB Type-A 5Gbps ×2
- 電源スイッチ

バックパネルのマザーボード側のインターフェースは下記の通りです。BTOには珍しく、BIOSを初期化できるCMOSクリアーボタンがあります。
高速転送可能なThunderbolt 4ポートも搭載しています。
- CMOSクリアーボタン
- USB 2.0 Type-A ×4
- Thunderbol 4 with USB Type-C 40Gbps ×1
- USB Type-C 10Gbps ×1
- USB Type-A 5Gbps ×2
- 2.5GLANポート×2
- ライン出力×1
- ライン入力×1
- マイク入力×1

バックパネルのビデオカード側のインターフェースは下記の通りです。
- HDMI2.1 ×1
- DisplayPort2.1a ×3
OMEN 35Lの内部構造をチェック

左サイドパネルを外して、各パーツをチェックします。

マザーボードは、HP独自もので、Z890チップセット搭載のものが搭載されています。

CPUクーラーには240mm簡易水冷を搭載。信頼性の高いAsetek社製の第7世代ポンプを採用しています。

ポンプヘッドには、480×480の解像度の2.1インチ液晶ディスプレイを搭載。

液晶ディスプレイの表示は、OMEN Gaming Hubから設定できます。

グラフィックスカードは、RTX 5070 Tiを搭載、トリプルファン仕様のものとなっています。ビデオかードホルダーでガッチリ固定されています。

メモリは、Kingston Fury DDR5 RGBメモリを搭載。


メモリの容量は16GB×2の32GB構成です。標準設定ではDDR5-5600で動作します。

OMEN Gaming Hubで、DDR5-6000までオーバークロックできます。

メモリのライティングは、OMEN Gaming Hubから設定できます。

ストレージは、ヒートシンクに覆われており、外部から目視できません。

Crystal Disk Infoで確認したところ、Western Digital製の2TBのものを搭載。PCIe Gen4で動作します。

電源ユニットは80PLUS GOLD認証を取得した1000Wのものを搭載。フルモジュラー式ということで、必要な分だけ配線できるタイプなので、ケーブル周りはスッキリしています。

右サイドパネルを外してもファンハブ以外に特に何もなく、ケーブル類が収納されています。

ケースファンやラジエーターのファンはこのファンハブに接続されています。
OMEN 35Lの拡張性をチェック

ビデオカードの存在感が強すぎて、マザーボードの拡張性は見た目からだと分かりづらいです。そのため、公式サイトをチェックして、マザーボードの拡張スロットを調べてみました。
- PCI Express Gen5 x16 × 1スロット (空0)
- PCI Express Gen4 x4 × 1スロット (空1)
- M.2 × 3スロット (空1)
マザーボードに空きスロットはあるにはあるのですが、かなり限定的です。特にPCI Express Gen4 x4スロットはほぼ間違いなく、ビデオカードに干渉するのでまず使えないと思っていいです。
M.2スロットの空きスロットは1基あるので、M.2 SSDの増設は可能です。

3.5インチ/2.5インチ兼用のシャドウベイが1基あり、HDDやSSDを増設出来ます。
OMEN 35Lのパフォーマンスをチェック
検証について

電源モードには、最適、パフォーマンス、エクストリームの3種類がありますが、今回はパフォーマンスに設定しています。

パフォーマンスに設定した場合、CPUのPL1は160W、PL2は250Wに設定されます。

また、メモリはDDR5-6000へオーバークロックしています。
CPU
レンダリングベンチマークの最新バージョンのCINEBENCH 2024で、CPUの性能を計測します。
20コア/20スレッドということで、マルチスコアの伸びは優秀です。ライバルのRyzen 7 9800X3Dのスコアと比べると、約38%上回っています。
シングルスコアも優秀なスコアですが、Ryzen 7 9700X、Core Ultra 7 265F、Ryzen 7 9800X3Dと比べてほとんど差はなく、誤差の範囲内と言っていいです。
グラフィックス
GPU(グラフィックボード)の3D描画性能を計測する3D Markです。
DirectX 12(DirectX 12 Future Level 12)に対応するテストのSteel Nomadです。4K解像度でテストするので、負荷は非常に重いです。
RTX 4080 SUPER以上の数値がきっちり出ています。前世代のRTX 4070 Ti SUPERのスコアと比べると、約24%上回っています。
DirectX 12 Ultimateに対応するSpeed Wayです。レイトレレーシングを有効にしてテストするので、負荷は非常に重いです。
こちらのテストでもRTX 4080 SUPER以上の数値がきっちり出ています。ライバルのRX 9070 XTのスコアと比べると、約21%上回っています。
レイトレーシング性能も良好です。

RTX 5070 Ti以外のGPUはRyzen 7 7800X3Dと組み合わせて検証ものです。
ストレージ


Crystal Disk Markでストレージの転送側を計測しました。
シーケンシャル読込は約6,300MB/s、書込は約5,700MB/sで、PCIe Gen4動作のSSDということで、十分すぎるほどの転送速度を発揮しています。
さすがにPCIe Gen5動作のSSDと比べた場合、速度は遅いですが、体感できるほどの差はほとんどないので特に気にする必要はないと思います。
OMEN 35Lのゲーム性能をチェック
ファイナルファンタジーXIV: 黄金のレガシー
公式から配布されているベンチマークソフトを使用。
フルHD、WQHDは平均200fps近辺に到達。4Kでも平均100fpsを超えており、快適にゲームを遊べます。
Apex Legends
ベンチマークモードがないので、平均フレームレートは、一定のマップを周回後、テルミットグレード、スモーク、ウルトを放って計測しています。
グラフィックの設定はプリセットがないため、全ての項目で一番右端のいわゆる最高に設定しています。
フルHD、WQHDは平均300fps近辺に到達。4Kでも平均200fpsを超えており、快適にゲームを遊べます。
Fortnite
ベンチマークは有志の方が作ってくれたものを使用しています。目まぐるしく視点が動き、銃撃戦もあるため、負荷重いです。
Fortniteはグラフィックの設定を最高にすると凄まじい負荷がかかるため、あまり現実的ではありません。そのため、グラフィックの設定は最低にしています。ただし、描画距離だけ最高にしています。
フルHDは平均300fps近辺に到達。WQHD、4Kでも平均270fpsを超えており、快適にゲームを遊べます。
Overwatch 2
ベンチマークは有志の方が作ってくれたものを使用します。BOT戦を観戦するものになります。
フルHD、WQHDは平均300fps近辺に到達。4Kでも平均220fpsを超えており、快適にゲームを遊べます。
レインボーシックス シージ エックス
ゲーム内のベンチマークを使用します。
フルHD、WQHDは平均300fps近辺に到達。4Kでも平均200fps近辺に到達しており、快適にゲームを遊べます。
Cyberpunk 2077
ゲーム内のベンチマークを使用します。
オーバードライブ設定にしているため、パストレーシングが有効になっています。そのため、負荷は非常に重いです。
フルHDは平均300fps近辺に到達。WQHDでも平均200fps近辺に到達。さらに4Kでも平均100fpsを超えており、快適にゲームを遊べます。
オーバードライブ設定の負荷は強烈ですが、MFGを有効にすることで、フレームレートは爆発的に伸びるため、4Kでも快適に遊べます。
F1 25
ゲーム内のベンチマークを使用します。
超最大設定にしているため、パストレーシングが有効になっています。そのため、負荷は非常に重いです。
フルHDは平均300fps近辺に到達。WQHDでも平均200fps近辺に到達。さらに4Kでも平均100fpsを超えており、快適にゲームを遊べます。
オーバードライブ設定の負荷は強烈ですが、MFGを有効にすることで、フレームレートは爆発的に伸びるため、4Kでも快適に遊べます。
Marvel Rivals
ゲーム内のベンチマークを使用します。
フルHDは平均360fps近辺に到達。WQHDでも平均290fps近辺に到達。さらに4Kでも平均200fpsを超えており、快適にゲームを遊べます。
負荷は軽いのであえて、MFGを有効にする必要はありませんが、ハイフレームレートを狙うのであれば、有効にしてもいいかもしれません。
Stellar Blade
ベンチマークソフトがないので、ステージを一定時間走ってフレームレートを計測しています。
フルHDは平均540fps近辺に到達。WQHDでも平均440fps近辺に到達。さらに4Kでも平均300fps近辺に到達しており、快適にゲームを遊べます。
このゲームはアクションのタイミングがシビアなため、MFGを有効にすると少しやりづらさを感じます。負荷は軽いので、あえてMFGを有効にする必要性はないかもしれません。
Monster Hunter Wilds
公式から配布されているベンチマークソフトを使用しています。
フルHDは平均150fps近辺に到達。WQHDでも平均130fps近辺に到達。さらに4Kでも平均100fps近辺に到達しており、快適にゲームを遊べます。
ウルトラ設定にすると、VRAM消費が激しくなりますが、RTX 5070 TiにはVRAM16GB搭載していますので、問題はありません。
OMEN 35Lの冷却性能と静音性をチェック
CPU温度


「Cinebench 2024:Minimum Test Duration:30 minutes」を使用して、CPUの冷却性能をチェックします。
テスト開始直後、PL2動作(250W)になるので、CPU温度は一瞬90℃に達しますが、すぐにPL1動作(160W)に切り替わり、テストを終わるまで70℃~80℃を推移しています。
サーマルスロットリングの兆候は一切なく、CPUは十分冷やし切れています。
グラフィックスカード温度


「3DMark Steel Nomad Stress Test」を使用して、GPUの冷却性能をチェックします。
テスト開始直後は温度はなだらかに上昇していき、最終的に70℃前後を維持しています。
こちらもサーマルスロットリングの兆候は一切なく、グラフィックスカードは十分冷やし切れています。
静音性


デジタル騒音計の「FiedNew FN029A」を使用して、OMEN 35Lの騒音を計測しました。
アイドル時は39dBA、CINEBENCH 2024実行時は48dBA、FF14実行時は41dBAでした。
アイドル時、FF14実行時はわずかに風切り音が聞こえますが、ほとんど気になりません。CINEBENCH 2024実行時ははっきりと認識できるくらいの騒音を感じます。ただ、そこまで爆音ではない印象です。
総じて騒音は静かです。
| 騒音レベル | 目安 |
|---|---|
| 100dBA | 電車が通るときのガードの下 |
| 90dBA | 騒々しい工場の中 |
| 80dBA | 地下鉄の車内 |
| 70dBA | 騒々しい事務所の中 |
| 60dBA | 静かな乗用車 |
| 50dBA | 静かな事務所の中 |
| 40dBA | 図書館の中 |
| 30dBA | ささやき声 |
OMEN 35Lのメリット・デメリット


- ホワイトケース
- LEDライティングに対応
- 静音性が高い
- 冷却性能が高い
- 240mm簡易水冷
- ポンプヘッドに液晶ディスプレイを搭載
- 4Kゲーミングが可能
- メンテナンスがやりやすい
- Thunder bolt4搭載
- CPU性能が高い
- メモリ32GB搭載
- ストレージが2TB
- 内部パーツがホワイトに統一されていない
- 拡張性は限定的
まとめ
「OMEN 35L(ハイパフォーマンスモデルv2)」は、CPUにCore Ultra 7 265K、グラフィックカードにRTX 5070 Tiを搭載するハイスペックゲーミングPCです。
4Kゲーミングも可能なゲーム性能の高さを誇り、ゲームでストレスを感じることはまずありません。
もちろん、魅力はゲーム性能だけでなく、各パーツがライティングに対応し、さらに簡易水冷クーラーのポンプヘッドに液晶ディスプレイを搭載。
デスク周りを一気に華やかに、所有欲を満たせてくれます。
さらに、静音性の高さも魅力的。ゲーム中、騒音で気になることはまずなく、ゲームに集中できる環境が整います。
OMEN 35Lシリーズは他にも複数のバリエーションが展開されているので、興味がある方は一度公式サイトをチェックしてみてください。
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