Core i5-14400Fは、2024年1月に発売されたインテルのデスクトップ向けCPUです。
Core i5-13400Fのマイナーチェンジ版ともいえるCPUで、Eコアを搭載しているのが大きな特徴となっています。それによって、Core i5でありながら、10コア16スレッドと強力なマルチ性能を持っています。
それでいて、価格も抑えられており、いわゆるコスパの高いCPUとしても今も人気があります。
今回の記事では他のCPUと比較して、Core i5-14400Fの基本ベンチマーク、ゲームでのフレームレート、クリエイティブ作業での実力を徹底検証します。
Core i5-14400Fの仕様

| Core i5-14400F | Core i5-12400F | |
| アーキテクチャー | Raptor Lake-S Refresh | Alder Lake S |
| プラットフォーム | LGA1700 | LGA1700 |
| コア数 | 10(Pコア6+Eコア4) | 6 |
| スレッド数 | 16 | 12 |
| ベースクロック | Pコア=2.5GHz、Eコア=1.8GHz | 2.5GHz |
| ブーストクロック | Pコア=4.7GHz、Eコア=3.5GHz | 4.4GHz |
| L2キャッシュ | 9.5MB | 7.5MB |
| L3キャッシュ | 20MB | 20MB |
| TDP | 65W | 65W |
| 対応メモリ | DDR5-4800 DDR4-3200 | DDR5-4800 DDR4-3200 |
| グラフィックス機能 | なし | なし |
| 参考価格 ※2025年12月 | 24,255円 | 23,240円 |
Core i5-14400Fは、アーキテクチャーの「Raptor Lake-S Refresh」とあるように、「Raptor Lake-S」の前世代のCore i5-13400Fのマイナーチェンジ版ともいえるCPUです。
Core i5-13400Fに比べると、クロック周波数が若干引き上げられていますが、それ以外は全く同じスペックです。
Core i5-12400Fと比べた場合、Pコアの数は6基と同じですが、Core i5-14400FにはEコアが4基ついているので、マルチコア性能はより高まっています。
CPU-Zで取得した情報を見る

検証環境
検証機のスペック

| パーツ | 製品名 |
|---|---|
| マザーボード | GIGABYTE B760 AORUS ELITE |
| ビデオカード | 玄人志向 RD-RX9070XT-E16GB/TP |
| CPUクーラー | サイズ MUGEN6 Black Edtion |
| メモリ | 16GB×2、DDR5-4800 |
| システム用SSD | WD_BLACK SN770 NVMe |
| アプリケーション用SSD | Kingston NV3 |
| 電源 | MSI MAG A850GL PCIE5 |
| PCケース | ADATA XPG VALOR AIR |
| OS | Windows 11 HOME(24H2) |
| 電源プラン | バランス |
検証環境は、一般的なBTOパソコンと同じような構成です。特に高価なパーツは使用していません。またCPUの設定はオーバークロックなどは一切せず、デフォルトの状態です。

ビデオカードは、RADEONのRX 9070 XTを使用。Core i5-14400FがどれだけRX 9070 XTのゲーム性能を引き出せるのか検証します。
比較対象のCPU

Core i5-14400Fの比較対象として下記のCPUを用意しました。Core i5-14400Fと同じエントリー~ミドル帯のCPUです。
- Core i5-12400
- Ryzen 5 7500F
- Ryzen 7 5700X
- Ryzen 5 4500
Core i5-14400Fの基本ベンチマーク
CINEBENCH 2024
レンダリングベンチマークの最新バージョンのCINEBENCH 2024で、CPUの性能を計測します。
まず、マルチスコアです。
Core i5-14400Fのマルチスコアは、10コア16スレッドということでなかなか高く、6コア12スレッドのCore i5-12400Fや8コア16スレッドのRyzen 7 5700Xを上回っています。
続いて、シングルスコアです。ゲームにおいてはシングル性能が重要なので、ゲーム目的であればこちらのスコアも要注目です。
Core i5-14400FのシングルスコアはRyzen 5 7500Fに匹敵しており、シングル性能も十分高いです。
3D Mark
GPU(グラフィックボード)の3D描画性能を計測する3D Markです。
DirectX 11に対応するテストのFire Strikeです。フルHD解像度でテストするので、負荷は軽めです。
Core i5-14400FのスコアはCore i5-12400を上回っていますが、Ryzen 7 5700X、Ryzen 5 7500Fを下回っています。
続いて最新のDirectX 12 Future Level 12_0に対応するSteel Nomadです。今回は軽量版のSteel Nomad Lightを使用します。WQHD解像度でテストするので、負荷は重めです。
負荷は重いので、CPUによる差はほとんどありません。
Core i5-14400Fのゲームベンチマーク
Assassin’s Creed Shadows

・解像度:フルHD
・画質:最高
・レイトレーシング:隠れ家のみ
・アップスケーリング:DLSSクオリティ
・フレーム生成:有効
Core i5-14400Fの平均fpsはCorer i5-12400とほぼ互角で、Ryzen 5 7500Fに対しては、若干上回っています。
Monster Hunter Wilds

・解像度:フルHD
・画質:ウルトラ
・レイトレーシング:高
・アップスケーリング:FSRクオリティ
・フレーム生成:オン
※ベンチマークソフトで計測
Core i5-14400Fの平均fpsはCore i5-12400を上回り、Ryzen 5 7500Fと同等です。
Cyberpunk 2077

・解像度:フルHD
・画質:ウルトラ
・アップスケーリング:FSRクオリティ
・フレーム生成:オン
※ベンチマークモードで計測
Core i5-14400Fの平均fpsはRyzen 7 5700Xを上回っていますが、Ryzen 5 7500Fを大きく下回っています。
Marvel Rivals

・解像度:フルHD
・画質:最高※ルーメンオフ
・アップスケーリング:FSRクオリティ
・フレーム生成:オン
※ベンチマークモードで計測
Core i5-14400Fの平均fpsは今回検証したCPUの中で最も伸びており、Core i5-12400だけでなく、ゲーム性能が高いRyzen 5 7500Fも上回っています。
このゲームはインテルCPUとの相性が良好なこともあり、Ryzen CPUだとフレームレートが伸びづらい傾向があります。
FFXIV: 黄金のレガシー

・解像度:フルHD
・画質:最高
※ベンチマークソフトで計測
Core i5-14400Fの平均fpsはCore i5-12400を若干上回っていますが、Ryzen 5 5700Xを大きく下回っています。
このゲームはRyzen CPUとの相性が良好なこともあり、インテル CPUより良好なパフォーマンスを発揮しやすいです。
F1 25の平均fps

・解像度:フルHD
・画質:超最大※パストレーシング・レイトレーシングオフ
・アップスケーリング:FSRクオリティ
・フレーム生成:オン
※ベンチマークモードで計測
Core i5-14400Fの平均fpsはCore i5-12400を若干上回っていますが、Ryzen 5 5700Xを大きく下回っています。
このゲームはRyzen CPUとの相性が良好なこともあり、インテル CPUより良好なパフォーマンスを発揮しやすいです。
Deus Ex: Mankind Divided

・解像度:フルHD
・画質:ウルトラ
※ベンチマークモードで計測
Core i5-14400Fの平均fpsは今回検証したCPUの中で最も伸びており、Core i5-12400だけでなく、ゲーム性能が高いRyzen 5 7500Fも上回っています。
このゲームはインテルCPUとの相性が良好なこともあり、Ryzen CPUだとフレームレートが伸びづらい傾向があります。
Fotnite

・解像度:フルHD
・画質:最高※Naniteオフ
・アップスケーリング:XeSSクオリティ
※ベンチマークモードで計測
Core i5-14400Fの平均fpsはCore i5-12400を若干上回っていますが、Ryzen 5 5700Xを若干下回っています。
Skull and Bones

・解像度:フルHD
・画質:ウルトラ※レイトレーシングオフ
・アップスケーリング:FSRクオリティ
※ベンチマークモードで計測
Core i5-14400Fの平均fpsはCore i5-12400を若干上回っていますが、Ryzen 5 5700Xを大きく下回っています。
Tom Clancy’s Rainbow Six Siege X

・解像度:フルHD
・画質:ウルトラ+
・アップスケーリング:FSRクオリティ
※ベンチマークモードで計測
Core i5-14400Fの平均fpsはCore i5-12400を若干上回っていますが、Ryzen 5 7500Fを大きく下回っています。
全10ゲームの平均fps
全10ゲームの平均fpsです。
Core i5-14400Fのゲーム性能はCore i5-12400を大きく上回り、Ryzen 7 5700Xとほぼ互角です。
ただし、Ryzen 5 7500Fとの差が大きく、ゲーム性能においては超えられない壁があります。
Core i5-14400Fのクリエイティブ系ベンチマーク
PC Mark 10
PCMark 10は、Windows PCの総合的な性能を評価するための業界標準のベンチマークソフトです。下記の3つの要素でベンチマークを行い、スコアを算出します。
- Essentials (基本性能):Webブラウジング、ビデオ会議、アプリの起動時間など、毎日の基本的なニーズを満たすための性能を測定します
- Productivity (生産性):スプレッドシート(表計算)やライティング(文章作成)など、一般的なオフィス作業における性能を測定します。
- Digital Content Creation (デジタルコンテンツ制作):写真編集、動画編集、レンダリングなど、負荷の高いクリエイティブな作業における性能を測定します。
なお今回は、設定をカスタマイズできる、PCMark 10 Extendedを実行します。GPUがスコアへ影響するのを防ぐために、「Use OpenCL」と「Use hardware-accelerated video processing」を無効化するためです。
今回検証したCPUの中ではCore i5-14400Fが最もスコアが伸びており、Ryzen 5 7500Fも上回っています。
Essentialsと同じく、今回検証したCPUの中ではCore i5-14400Fが最もスコアが伸びており、Ryzen 5 7500Fも上回っています。
Core i5-14400FのスコアはRyzen 5 5700Xとほぼ同等ですが、Ryzen 5 7500Fを大きく下回っています。
Blender benchmark
Blender Benchmarkは、オープンソースの3Dソフトウェア「Blender」におけるPCのレンダリング性能を計測するための公式ベンチマークツールです。今回はGPUではなく、CPUでレンダリングして性能を計測します。
今回検証したCPUの中ではCore i5-14400Fが最も総合スコアが伸びており、Ryzen 5 7500Fも上回っています。
Aviutlでのエンコード
無料の動画編集ソフトのAviutlで、x264コーデックでエンコードにかかった時間を計測します。素材は10分間のmov形式の4K動画です。
Core i5-14400Fのエンコードにかかった時間は16分57秒でした。Core i5-12400より約2分ほど速く処理を終えています。
ただし、Ryzen 5 7500Fと比較した場合、約50秒ほど処理時間は遅いです。
Core i5-14400Fの消費電力
CINEBENCH 2024を10分間連続で実行し、CPUの単体の消費電力を「HWiNFO」で計測しました。
Core i5-14400Fの平均消費電力、最大消費電力ともには65Wでした。
Core i5-12400Fよりコア数が多いにも関わらず、消費電力は抑えられています。
また、Ryzen 7 5700X、Ryzen 5 7500Fよりも消費電力は低い点も魅力的です。
Core i5-14400Fのレビューまとめ

- ゲーミング性能はCore i5-12400を上回り、Ryzen 7 5700Xと互角
- 10コア16スレッドとコア数、スレッド数が多い
- 消費電力は低い
- コストパフォーマンスが高い
- クリエイティブ性能が高い
- シングル性能が高い
- DDR4メモリに対応
- Ryzen 5 7500Fと比べると一段階ゲーム性能が落ちる
Core i5-14400Fは、エントリー~ミドル帯のCPUとしては10コア16スレッドと破格のコア数、スレッド数を有しており、マルチコア性能は優秀です。
それでいて、シングル性能も高く、まさに弱点が少ない優等生的なCPUと言えます。
ゲーム性能はCore i5-12400を上回り、Ryzen 7 5700Xと互角で、エントリー~ミドル帯のCPUとしては優秀な部類に入ります。
ただし、Ryzen 5 7500Fと比較した場合、ゲーム性能は一段階落ちる印象です。
ただ、Ryzen 5 7500Fは単体購入できず、現状購入できるエントリー~ミドル帯のCPUの中では、Core i5-14400FはRyzen 7 5700Xと並び、最もおすすめできるCPUです。

コメント