Arc B580はIntelの新しいGPUライン「Arc Bシリーズ」の第一弾モデルで、前世代のAシリーズからアーキテクチャが一新されました。
このGPUの最大の特徴は、エントリークラス向けのモデルでありながら、12GBという大容量のVRAMを搭載している点です。
本記事では、Arc B580の基本性能や特徴を詳しく解説し、実際のゲームでのパフォーマンスを検証します。最後にArc B580搭載のおすすめゲーミングPCを紹介します。
Arc B580の仕様
| Arc B580 | Arc A770 | |
| アーキテクチャー | Xe2 | Xe-HPG |
| Xeコア | 20基 | 32基 |
| Xeベクトルエンジン | 160基 | 512基 |
| レイ・トレーシング・ユニット | 20基 | 32基 |
| XMX | 160基 | – |
| ベース/ブーストクロック | 2,670MHz / 2,850MHz | 2,100MHz / – |
| VRAM | GDDR6 12GB | GDDR6 16GB |
| メモリーデータレート | 19Gbps | 17.5Gbps |
| メモリーバス幅 | 192bit | 256bit |
| メモリー帯域幅 | 456GB/s | 560GB/s |
| PCI-Express | Gen4×8 | Gen4×8 |
| 補助電源コネクター | 8ピン×1 | 8ピン×1 |
| グラフィックスカード電力 | 190W | 225W |
先代モデルのArc 770とスペックを比較すると、全体的にスペックダウンしている印象です。
Xe2アーキテクチャを採用したBattlemageになったことで、スペック上からは判断できない点で様々な進化を遂げています。
グラフィックカード電力も低くなっており、より優れた電力効率を発揮します。
ライバルはRTX 5050あたりが想定されます。
Arc B580のメリット
VRAM12GB

VRAMは、GPU専用のメモリで、主にゲームプレイ中に大量に使用されます。各GPUにはVRAMの容量が決まっており、この容量を超えると、ゲームの快適性が大きく損なわれる可能性があります。
例えば、フレームレートが極端に低下する、最悪の場合、ゲームが起動すらしないこともあります。
そんな中で、Arc B580のVRAMは12GBという十分な容量を誇っており、これにより高負荷のゲームでもVRAM不足を心配することなく、スムーズにプレイできます。
通常、エントリークラスのGPUのVRAMは8GBなので、このArc B580の12GBの容量は破格と言えます。
XeSS 2に対応

今までのIntel Arcのビデオカードを使用する場合、フレーム生成を有効にするためにはFSRを利用する必要がありました。
今回、新たに、Intel版のフレーム生成技術の「XeSS 2」が登場したことにより、FSRのフレーム生成を使う必要がなくなりました。
ただし、「XeSS2」はゲーム側で対応が必須で、現時点では対応ゲームは非常に少なく、普及にはまだまだ時間がかかりそうです。
Arc B580のデメリット
MFGに対応する機能がない

「MFG(マルチフレーム生成)」は、最大3つの追加フレームを活用して、驚異的なフレームレート向上を実現する最先端の技術です。この技術は、NVIDIAのRTX 50シリーズ専用であり、IntelのArcシリーズでは利用できません。
現時点では、Intel ArcシリーズにはMFGに似た技術が搭載されておらず、そのためフレームレートにおいて、MFGを利用するNVIDIAグラフィックカードが圧倒的に有利な状況が続いています。
検証環境
検証するゲームタイトルについて
ここからはゲームベンチマークでArc B580のゲーム性能を検証します。
検証したゲームタイトルは下記の8タイトルです。
- Assassin’s Creed Shadows
- Ghost of Tsushima
- Monster Hunter Wilds
- Cyberpunk 2077
- Marvel Rivals
- FFXIV: 黄金のレガシー
- Stellar Blade
- F1 25
ゲームのグラフィックはそのゲーム内の最高設定にしています。また、フレーム生成は有効にし、MFG対応ゲームにおいてはMFG×4に設定しています。
比較対象のグラボ
Arc B580の比較対象として下記のグラボを用意しました。
- RTX 4060(VRAM8GB)
- RTX 5060(VRAM8GB)
- RTX 5050(VRAM8GB)
- RTX 3050(VRAM6GB)
- RX 7600(VRAM8GB)
Arc B580と同じ価格帯のローエンド帯のGPUです。この中では、Arc B580のみVRAM12GBを搭載し、それ以外のGPUは全てVRAM搭載量は8GB以下となっています。

3Dグラフィックス性能測定のためのベンチマークソフトの「3D Mark」で、今回検証に使用したGPUのスコアを比較しました。
ラスタライズ性能をテストするSteel Nomad、レイトレーシング性能をテストするSpeed Wayの2種類のテストを使用しました。
Arc B580のスコアはRTX 5060には遠く及びませんが、RTX 5050やRTX 4060などを上回り、良好なスコアを獲得しています。
特にSteel Nomadのスコアは良好です。
Steel Nomadは4K解像度でテストする高負荷なテストですが、VRAM12GBあるので、スコアに良い影響を与えているようです。
検証機のスペック

| パーツ | 製品名 |
|---|---|
| マザーボード | ASUS ROG STRIX B650-A GAMING WIFI |
| CPU | Ryzen 7 7800X3D |
| ビデオカード | Asrock Intel Arc B580 Challenger 12GB OC |
| CPUクーラー | PCCOOLER GAME ICE K4 |
| メモリ | Kingston FURY Renegade DDR5 RGB メモ (16GB×2、DDR5-4800) |
| システム用SSD | WD_BLACK SN770 NVMe |
| アプリケーション用SSD | Kingston NV3 |
| 電源 | MSI MAG A850GL PCIE5 |
| PCケース | 長尾製作所 SMZ-2WBT-ATX |
| OS | Windows 11 HOME(24H2) |
| 電源プラン | バランス |
CPUにはRyzen 7 7800X3Dを使用しています。3DVキャッシュを搭載しており、ゲーム性能が非常に高いCPUです。RX 7600の性能を最大限引き出すことができます。


使用するモデルは「Asrock Intel Arc B580 Challenger 12GB OC」です。カード長は249mmと短いデュアルファン仕様のコンパクトなモデルです。
Arc B580のゲーム性能
Assassin’s Creed Shadows

・画質:最高
・レイトレーシング:全体的に拡散+反射
・アップスケーリング:DLSS/FSR/XeSSクオリティ
・フレーム生成:有効

Arc B580の平均フレームレートは、フルHDで84fps、WQHDで71fpsでした。
最高設定かつ、レイトレーシングを有効にするとVRAM消費が8GBを超えてくるゲームです。
Arc B580はVRAM12GB搭載なのが効いており、フレームレートの落ち込みは確認できません。
Ghost of Tsushima

・画質:非常に高い
・アップスケーリング:DLSS/FSRクオリティ
・フレーム生成:オン
※1分間フィールドを馬で駆け抜けてるときに計測

Arc B580の平均フレームレートは、フルHDで121fps、WQHDで100fpsでした。
RADEON有利なゲームですが、Arc B580のフレームレートは十分健闘しています。
Monster Hunter Wilds

・画質:ウルトラ
・レイトレーシング:高
・アップスケーリング:DLSS/FSRクオリティ
・フレーム生成:オン
※ベンチマークソフトで計測

Arc B580の平均フレームレートは、フルHDで69fps、WQHDで56fpsでした。
RADEON有利なゲームかつVRAM消費が激しいゲームですが、Arc B580のVRAM12GBが功を奏し、フレームレートの落ち込みはありません。
Cyberpunk 2077

・画質:オーバードライブ
・アップスケーリング:DLSS/FSRクオリティ
・フレーム生成:オン
※ベンチマークモードで計測

Arc B580の平均フレームレートは、フルHDで62fps、WQHDで39fpsでした。
オーバードライブ設定にすると自動的にパストレーシングが有効になり、さらにVRAM消費が8GBを超えます。
VRAM12GB搭載のArc B580は、VRAM不足の兆候が一切なく、特にフルHDでは安定してフレームレートを出しています。
Marvel Rivals

・画質:最高
・アップスケーリング:DLSS/FSR/XeSSクオリティ
・フレーム生成:オン
※ベンチマークモードで計測

Arc B580の平均フレームレートは、フルHDで116fps、WQHDで97fpsでした。
MFGを有効にしたRTX 5060、RTX 5050を下回りますが、それでもRTX 4060を上回り、Arc B580は十分健闘しています。
FFXIV: 黄金のレガシー

・画質:最高
※ベンチマークソフトで計測

Arc B580の平均フレームレートは、フルHDで125fps、WQHDで90fpsでした。
NVIDIA有利なゲームですが、RTX 4060、RTX 5050を上回り、Arc B580は健闘しています。
Stellar Blade

・画質:とても高い
・アップスケーリング:DLSS/FSRクオリティ
・フレーム生成:オン
※1分間走ってフレームレートを計測

Arc B580の平均フレームレートは、フルHDで123fps、WQHDで108fpsでした。
このゲームはIntel Arcシリーズとの相性が悪く、Arc B580のフレームレートの伸びはイマイチです。
F1 25

・画質:超最大
・アップスケーリング:DLSS/FSR/XeSSクオリティ
・フレーム生成:オン
※ベンチマークモードで計測

Arc B580の平均フレームレートは、フルHDで83fps、WQHDで52fpsでした。
超最大設定にすると自動的にパストレーシングが有効になり、VRAM消費が8GBを超えますが、Arc B580はVRAM12GB搭載しているので、フレームレートの落ち込みはありません。
Arc B580の消費電力

ラトックシステムのワットチェッカーの「RS-BTWATCH2」を使用し、GPU単体ではなく、システム全体の消費電力を測定します。
上記の表は、FFXIV: 黄金のレガシーベンチマーク(4K・最高設定)実行中の平均・最大消費電力をまとめたものです。
Arc B580の消費電力は、RTX 5060を上回り、エントリー帯のGPUの中ではかなり高めとなっています。
Arc B580のレビューまとめ

- コストパフォーマンスが高い
- フルHDゲーミングに最適
- WQHDゲーミングも十分可能
- VRAM12GB搭載
- ミドル帯のGPUの中では消費減力が高い
- フレーム生成のXeSS 2対応ゲームの数は少ない
- 一部相性が悪いゲームがある
Arc B580は安価にフルHD、WQHD解像度でゲームをプレーしたい方におすすめのGPUです。
ビデオカード単体で3万円後半という低価格でVRAM12GBを搭載しているのが何よりも強みで、ゲームによってはVRAM8GBのGPUを上回るゲーム性能を発揮します。
一部相性の悪いゲームもありますが、将来的なドライバのアップデートで解消される可能性があり、明確な弱点はありません。
個人的にエントリー帯のGPUでは最もおすすめしたいGPUと言えます。
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Arc B580のおすすめゲーミングPC
【サイコム】Radiant VX2800B550A

| 【サイコム】Radiant VX2800B550Aのスペック | |
|---|---|
| OS | Windows 11 home |
| CPU | Ryzen 5 5600XT |
| GPU | Arc B580 ※要カスタマイズ |
| CPUクーラー | 空冷 |
| メモリ | 16GB(8GB×2) ※要カスタマイズ |
| ストレージ | 500GB(M.2 SSD) |
| マザーボード | ASRock B550M Phantom Gaming 4 |
| 電源 | 750W 80 PLUS BRONZE ※要カスタマイズ |
| 無線LAN | 無し |
| 保証期間 | 1年 |
| 価格 | 139,930円 |
まとめ
近年、VRAM消費が激しいゲームが増えており、VRAM12GBを搭載しているArc B580はますます輝きを増しています。
VRAM消費が激しいゲームをなるべく低予算でプレーしたい場合、Arc B580搭載モデルはおすすめできます。
よくある質問まとめ
- Arc B580搭載モデルは初心者におすすめですか?
-
最安モデル10万円代で購入できます。
- VRAM12GBが不安ですが大丈夫でしょうか。
-
フルHD、WQHDでVRAM消費が12GBを超えるゲームはほとんどありません。大抵のゲームであれば、問題なくプレー可能です。もしVRAM16GBが欲しいのであれば、RX 9060 XT搭載モデルがおすすめです。
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Arc B580はゲーム性能はそれなりに高いので、ゲーム性能の低いRyzen 5 4500では性能を活かせません。最低でもRyzen 7 5700Xあたりをおすすめします。

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