Core i5-12400は、2021年11月に発売されたインテルのデスクトップ向けCPUです。
Alder Lake世代のインテル製CPUなので、Eコアが搭載されていると思われがちですが、このCore i5-12400はEコアの搭載は見送られ、いわゆるPコアが6基のみの、6コア12スレッドのCPUです。
ただその分、コストが抑えられ、エントリー~ミドル帯の定番CPUとして、ロングセラーとなっています。
今回の記事では他のCPUと比較して、Core i5-12400の基本ベンチマーク、ゲームでのフレームレート、クリエイティブ作業での実力を徹底検証します。
Core i5-12400の仕様

| Core i5-12400 | Core i5-14400 | |
| アーキテクチャー | Alder Lake S | Raptor Lake-S Refresh |
| プラットフォーム | LGA1700 | LGA1700 |
| コア数 | 6 | 10(Pコア6+Eコア4) |
| スレッド数 | 12 | 16 |
| ベースクロック | 2.5GHz | Pコア=2.5GHz、Eコア=1.8GHz |
| ブーストクロック | 4.4GHz | Pコア=4.7GHz、Eコア=3.5GHz |
| L2キャッシュ | 7.5MB | 9.5MB |
| L3キャッシュ | 20MB | 20MB |
| TDP | 65W | 65W |
| 対応メモリ | DDR5-4800 DDR4-3200 | DDR5-4800 DDR4-3200 |
| グラフィックス機能 | UHD Graphics 730 | UHD Graphics 730 |
| 参考価格 ※2025年12月 | 23,240円 | 24,255円 |
Core i5-12400は、旧世代ではありますが、Core i5-14400と同じGolden Coveコアを採用しており、基本的な性能はCore i5-14400と変わりありません。
ただ、Core i5-14400がEコアを4基搭載しているのに対して、Core i5-12400はEコアを搭載していません。
言い換えると、Core i5-12400は、Core i5-14400からEコアを省いたCPUと言えます。
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検証環境
検証機のスペック

| パーツ | 製品名 |
|---|---|
| マザーボード | GIGABYTE B760 AORUS ELITE |
| ビデオカード | 玄人志向 RD-RX9070XT-E16GB/TP |
| CPUクーラー | サイズ MUGEN6 Black Edtion |
| メモリ | 16GB×2、DDR5-4800 |
| システム用SSD | WD_BLACK SN770 NVMe |
| アプリケーション用SSD | Kingston NV3 |
| 電源 | MSI MAG A850GL PCIE5 |
| PCケース | ADATA XPG VALOR AIR |
| OS | Windows 11 HOME(24H2) |
| 電源プラン | バランス |
検証環境は、一般的なBTOパソコンと同じような構成です。特に高価なパーツは使用していません。またCPUの設定はオーバークロックなどは一切せず、デフォルトの状態です。

ビデオカードは、RADEONのRX 9070 XTを使用。Core i5-12400がどれだけRX 9070 XTのゲーム性能を引き出せるのか検証します。
比較対象のCPU

Core i5-12400の比較対象として下記のCPUを用意しました。Core i5-12400と同じエントリー~ミドル帯のCPUです。
- Core i5-14400F
- Ryzen 5 7500F
- Ryzen 7 5700X
- Ryzen 5 4500
Core i5-12400の基本ベンチマーク
CINEBENCH 2024
レンダリングベンチマークの最新バージョンのCINEBENCH 2024で、CPUの性能を計測します。
まず、マルチスコアです。
Core i5-12400のマルチスコアは、同じ6コア12スレッドのRyzen 5 4500を上回っていますが、8コア16スレッドのRyzen 7 5700Xを下回っています。
続いて、シングルスコアです。ゲームにおいてはシングル性能が重要なので、ゲーム目的であればこちらのスコアも要注目です。
Core i5-12400のシングルスコアはRyzen 7 5700Xを上回っており、シングル性能も十分高いです。
3D Mark
GPU(グラフィックボード)の3D描画性能を計測する3D Markです。
DirectX 11に対応するテストのFire Strikeです。フルHD解像度でテストするので、負荷は軽めです。
Core i5-12400のスコアはRyzen 5 4500を大幅に上回っていますが、Core i5-14400Fを若干下回っています。
続いて最新のDirectX 12 Future Level 12_0に対応するSteel Nomadです。今回は軽量版のSteel Nomad Lightを使用します。WQHD解像度でテストするので、負荷は重めです。
Core i5-12400のスコアはCore i5-14400Fを若干下回っていますが差はほとんどありません。
Core i5-12400のゲームベンチマーク
Assassin’s Creed Shadows

・解像度:フルHD
・画質:最高
・レイトレーシング:隠れ家のみ
・アップスケーリング:DLSSクオリティ
・フレーム生成:有効
Core i5-12400の平均fpsはCorer i5-14400Fとほぼ互角で、Ryzen 5 7500Fに対しては、若干上回っています。
Monster Hunter Wilds

・解像度:フルHD
・画質:ウルトラ
・レイトレーシング:高
・アップスケーリング:FSRクオリティ
・フレーム生成:オン
※ベンチマークソフトで計測
Core i5-12400の平均fpsはRyzen 7 5700Xを若干上回っていますが、Core i5-14400Fを下回っています。
Cyberpunk 2077

・解像度:フルHD
・画質:ウルトラ
・アップスケーリング:FSRクオリティ
・フレーム生成:オン
※ベンチマークモードで計測
Core i5-12400の平均fpsはRyzen 5 4500を大幅に上回っていますが、Ryzen 7 5700Xを下回っています。
Marvel Rivals

・解像度:フルHD
・画質:最高※ルーメンオフ
・アップスケーリング:FSRクオリティ
・フレーム生成:オン
※ベンチマークモードで計測
Core i5-12400の平均fpsはゲーム性能の高いRyzen 5 7500Fを上回り、Core i5-14400Fを下回ります。
このゲームはインテルCPUとの相性が良好なこともあり、Ryzen CPUだとフレームレートが伸びづらい傾向があります。
FFXIV: 黄金のレガシー

・解像度:フルHD
・画質:最高
※ベンチマークソフトで計測
Core i5-12400の平均fpsはRyzen 5 4500を大きく上回りますが、Core i5-14400Fを若干下回ります。
このゲームはRyzen CPUとの相性が良好なこともあり、インテル CPUより良好なパフォーマンスを発揮しやすいです。
F1 25の平均fps

・解像度:フルHD
・画質:超最大※パストレーシング・レイトレーシングオフ
・アップスケーリング:FSRクオリティ
・フレーム生成:オン
※ベンチマークモードで計測
Core i5-12400の平均fpsはRyzen 5 4500を大きく上回りますが、Core i5-14400Fを下回ります。
このゲームはRyzen CPUとの相性が良好なこともあり、インテル CPUより良好なパフォーマンスを発揮しやすいです。
Deus Ex: Mankind Divided

・解像度:フルHD
・画質:ウルトラ
※ベンチマークモードで計測
Core i5-12400の平均fpsはRyzen 7 5700Xを大きく上回り、Ryzen 5 7500Fと同等です。
このゲームはインテルCPUとの相性が良好なこともあり、Ryzen CPUだとフレームレートが伸びづらい傾向があります。
Fortnite

・解像度:フルHD
・画質:最高※Naniteオフ
・アップスケーリング:XeSSクオリティ
※ベンチマークモードで計測
Core i5-12400の平均fpsはRyzen 5 4500を大きく上回り、Core i5-14400Fを若干下回ります。
Skull and Bones

・解像度:フルHD
・画質:ウルトラ※レイトレーシングオフ
・アップスケーリング:FSRクオリティ
※ベンチマークモードで計測
Core i5-14400Fの平均fpsはRyzen 5 4500を大きく上回り、Core i5-14400Fを若干下回ります。
Tom Clancy’s Rainbow Six Siege X

・解像度:フルHD
・画質:ウルトラ+
・アップスケーリング:FSRクオリティ
※ベンチマークモードで計測
Core i5-12400の平均fpsはRyzen 7 5700Xを上回り、Core i5-14400Fを若干下回ります。
全10ゲームの平均fps
全10ゲームの平均fpsです。
Core i5-12400のゲーム性能は同じ6コア12スレッドのRyzen 5 4500を大きく上回り、Ryzen 7 5700Xに肉薄しています。
ただし、Ryzen 5 7500Fを大きく下回っています。
Core i5-12400のクリエイティブ系ベンチマーク
PC Mark 10
PCMark 10は、Windows PCの総合的な性能を評価するための業界標準のベンチマークソフトです。下記の3つの要素でベンチマークを行い、スコアを算出します。
- Essentials (基本性能):Webブラウジング、ビデオ会議、アプリの起動時間など、毎日の基本的なニーズを満たすための性能を測定します
- Productivity (生産性):スプレッドシート(表計算)やライティング(文章作成)など、一般的なオフィス作業における性能を測定します。
- Digital Content Creation (デジタルコンテンツ制作):写真編集、動画編集、レンダリングなど、負荷の高いクリエイティブな作業における性能を測定します。
なお今回は、設定をカスタマイズできる、PCMark 10 Extendedを実行します。GPUがスコアへ影響するのを防ぐために、「Use OpenCL」と「Use hardware-accelerated video processing」を無効化するためです。
Core i5-12400のスコアはRyzen 7 5700Xを若干上回り、Ryzen 5 7500Fを若干下回ります。
Core i5-12400のスコアはRyzen 7 5700Xを大きく上回り、Ryzen 5 7500Fを若干下回ります。
Core i5-14400FのスコアはRyzen 5 4500を大きく上回っていますが、逆にCore i5-14400Fを大きく下回っています。
Blender benchmark
Blender Benchmarkは、オープンソースの3Dソフトウェア「Blender」におけるPCのレンダリング性能を計測するための公式ベンチマークツールです。今回はGPUではなく、CPUでレンダリングして性能を計測します。
Core i5-14400FのスコアはRyzen 5 4500を大きく上回っていますが、逆にCore i5-14400Fを大きく下回っています。
Aviutlでのエンコード
無料の動画編集ソフトのAviutlで、x264コーデックでエンコードにかかった時間を計測します。素材は10分間のmov形式の4K動画です。
Core i5-14400Fのエンコードにかかった時間は18分42秒でした。Ryzen 7 5700Xより約6秒ほど速く処理を終えています。
ただし、Core i5-14400Fと比較した場合、約2分ほど処理時間は遅いです。
Core i5-12400の消費電力
CINEBENCH 2024を10分間連続で実行し、CPUの単体の消費電力を「HWiNFO」で計測しました。
Core i5-14400Fの平均消費電力は71W、最大消費電力ともには75Wでした。
残念ながらEコアがついているCore i5-14400Fより消費電力は高いです。おそらく、Core i5-14400FにはEコアが処理を分散しており、消費電力の高いPコアの負荷が抑えられていると考えられます。
Core i5-12400のレビューまとめ

- ゲーミング性能はRyzen 7 5700Xに匹敵
- 消費電力は低い
- コストパフォーマンスが高い
- シングル性能が高い
- DDR4メモリに対応
- Ryzen 5 7500F、Core i5-14400Fと比べると一段階ゲーム性能が落ちる
- Eコアが搭載されていない
- マルチ性能が弱い
- 消費電力はCore i5-14400Fより高い
Core i5-12400は、エントリー~ミドル帯のCPUとしては標準的な6コア12スレッドですが、シングル性能が高いです。
Eコアは搭載されていませんが、ゲーム性能にあまり寄与しないので、Core i5-14400Fに肉薄するゲーム性能を発揮します。
ただ、現在、Core i5-1240は終息気味の製品となっており、本来の強みであったコストパフォーマンスの高さが失われています。
同じような価格であれば、Core i5-14400Fを選ぶことをおすすめします。

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