Core i7-14700Fは、2024年1月に発売されたインテルのデスクトップ向けCPUです。
Raptor Lake-S Refreshアーキテクチャーを採用した、インテル第14世代のCPUです。
オーバークロック非対応のK付きではない、いわゆる無印モデルなので、TDP65Wに抑えられており、扱いやすいです。
そのため、BTOによく採用されています。
今回の記事では他のCPUと比較して、Core i7-14700Fの基本ベンチマーク、ゲームでのフレームレート、クリエイティブ作業での実力を徹底検証します。
Core i7-14700Fの仕様

| Core i7-14700F | Core Ultra 7 265F | |
| アーキテクチャー | Raptor Lake-S Refresh | Arrow Lake |
| プラットフォーム | LGA 1700 | LGA 1851 |
| コア数 | 20(P8+E12) | 20(P8+E12) |
| スレッド数 | 28 | 20 |
| ベースクロック | 2.1GHz | 2.4GHz |
| ブーストクロック | 5.4GHz | 5.3GHz |
| L2キャッシュ | 28MB | 36MB |
| L3キャッシュ | 33MB | 30MB |
| TDP | 65W | 65W |
| 対応メモリ | DDR5-5600 DDR4-3200 | DDR5-6400 |
| グラフィックス機能 | – | – |
| 参考価格 ※2025年12月 | 48,480円 | 53,980円 |
Core i7-14700Fはインテル第14世代のCore i7シリーズのオーバークロック非対応のCPUです。オーバークロックに対応しているK付きとは異なり、TDPが65Wに抑えられています。
Pコアが8基、Eコアが12基あるので、合計20コア28スレッドというコア数スレッド数の数が多いのが最大の特徴となっています。
後継モデルのCore Ultra 7 265Fはハイパースレッディングに対応していないので、単純にコア数スレッド数で比較すると、Core i7-14700Fの方が数が多いです。
CPU-Zで取得したCore i7-14700Fの情報を見る

検証環境
検証機のスペック

| パーツ | 製品名 |
|---|---|
| マザーボード | GIGABYTE B760 AORUS ELITE |
| ビデオカード | 玄人志向 RD-RX9070XT-E16GB/TP |
| CPUクーラー | サイズ MUGEN6 Black Edtion |
| メモリ | 16GB×2、DDR5-4800 |
| システム用SSD | WD_BLACK SN770 NVMe |
| アプリケーション用SSD | Kingston NV3 |
| 電源 | MSI MAG A850GL PCIE5 |
| PCケース | ADATA XPG VALOR AIR |
| OS | Windows 11 HOME(24H2) |
| 電源プラン | バランス |
検証環境は、一般的なBTOパソコンと同じような構成です。特に高価なパーツは使用していません。またCPUの設定はオーバークロックなどは一切せず、デフォルトの状態です。

ビデオカードは、RADEONのRX 9070 XTを使用。Core i7-14700FがどれだけRX 9070 XTのゲーム性能を引き出せるのか検証します。
比較対象のCPU

Core i7-14700Fの比較対象として下記のCPUを用意しました。
- Core Ultra 7 265F
- Ryzen 7 9800X3D
- Ryzen 7 7800X3D
- Ryzen 7 9700X
- Ryzen 7 7700
- Ryzen 7 5700X
Core i7-14700Fの基本ベンチマーク
CINEBENCH 2024
レンダリングベンチマークの最新バージョンのCINEBENCH 2024で、CPUの性能を計測します。
まず、マルチスコアです。
Core i7-14700Fのマルチスコアは、20コア28スレッドと数が多いのに、8コア16スレッドのryzen 7 9800X3Dを下回っています。
続いて、シングルスコアです。ゲームにおいてはシングル性能が重要なので、ゲーム目的であればこちらのスコアも要注目です。
Core i7-14700FのシングルスコアはRyzen 7000シリーズのRyzen 7 7700、Ryzen 7 7800X3Dを上回っていますが、Ryzen 9000シリーズのRyzen 7 9700X、Ryzen 7 9800X3D、後継のCore Ultra 7 265Fを大きく下回っています。
3D Mark
GPU(グラフィックボード)の3D描画性能を計測する3D Markです。
DirectX 11に対応するテストのFire Strikeです。フルHD解像度でテストするので、負荷は軽めでCPU性能がスコアに影響します。
Core i7-14700FのスコアはRyzen 7 9800X3Dと比較して、約10,000という大差をつけられて下回っています。
Core i7-14700Fのゲームベンチマーク
Assassin’s Creed Shadows

・解像度:フルHD
・画質:最高
・レイトレーシング:隠れ家のみ
・アップスケーリング:DLSSクオリティ
・フレーム生成:有効
Core i7-14700Fの平均fpsはRyzen 7 9800X3Dを上回り、今回検証したCPUの中では最も優秀結果を残しています。
ただし、このゲームはGPU依存度が高く、また3DVキャッシュの効果が効きづらいため、CPUによる差はあまりありません。
しいて言うなら、インテルCPUが若干有利な印象です。
Monster Hunter Wilds

・解像度:フルHD
・画質:ウルトラ
・レイトレーシング:高
・アップスケーリング:FSRクオリティ
・フレーム生成:オン
※ベンチマークソフトで計測
Core i7-14700Fの平均fpsはRyzen 7 7700、Core Ultra 7 265Fを大きく下回っています。
Cyberpunk 2077

・解像度:フルHD
・画質:ウルトラ
・アップスケーリング:FSRクオリティ
・フレーム生成:オン
※ベンチマークモードで計測
Core i7-14700Fの平均fpsはRyzen 7 7700、Core Ultra 7 265Fを大きく下回っています。特にRyzen 7 9800X3Dと比較した場合、平均fpsで約150という大差をつけられて下回っています。
Marvel Rivals

・解像度:フルHD
・画質:最高※ルーメンオフ
・アップスケーリング:FSRクオリティ
・フレーム生成:オン
※ベンチマークモードで計測
Core i7-14700Fの平均fpsはRyzen 7 7700とほぼ同等で、Core Ultra 7 265Fを下回ります。特にRyzen 7 9800X3Dと比較した場合、平均fpsで約120という大差をつけられて下回っています。
FFXIV: 黄金のレガシー

・解像度:フルHD
・画質:最高
※ベンチマークソフトで計測
Core i7-14700Fの平均fpsはCore Ultra 7 265Fを若干下回ります。
Deus Ex: Mankind Divided

・解像度:フルHD
・画質:ウルトラ
※ベンチマークモードで計測
Core i7-14700Fの平均fpsはCore Ultra 7 265Fを若干下回ります。特にRyzen 7 9800X3Dと比較した場合、平均fpsで約100という大差をつけられて下回っています。
Fotnite

・解像度:フルHD
・画質:最高※Naniteオフ
・アップスケーリング:XeSSクオリティ
※ベンチマークモードで計測
Core i7-14700Fの平均fpsはRyzen 7 7700とほぼ同等で、Core Ultra 7 265Fを上回っています。
Skull and Bones

・解像度:フルHD
・画質:ウルトラ※レイトレーシングオフ
・アップスケーリング:FSRクオリティ
※ベンチマークモードで計測
Core i7-14700Fの平均fpsはCore Ultra 7 265Fを大きく下回っています。
Tom Clancy’s Rainbow Six Siege X

・解像度:フルHD
・画質:ウルトラ+
・アップスケーリング:FSRクオリティ
※ベンチマークモードで計測
Core i7-14700Fの平均fpsはRyzen 7 7700、Core Ultra 7 265Fを若干上回っています。
全9ゲームの平均fps
全9ゲームの平均fpsです。
Core i7-14700Fのゲーム性能はCore Ultra 7 265Fを下回り、今回検証したCPUの中で最も平均fpsが伸び悩んでいます。
Core i7-14700Fのクリエイティブ系ベンチマーク
PC Mark 10
PCMark 10は、Windows PCの総合的な性能を評価するための業界標準のベンチマークソフトです。下記の3つの要素でベンチマークを行い、スコアを算出します。
- Essentials (基本性能):Webブラウジング、ビデオ会議、アプリの起動時間など、毎日の基本的なニーズを満たすための性能を測定します
- Productivity (生産性):スプレッドシート(表計算)やライティング(文章作成)など、一般的なオフィス作業における性能を測定します。
- Digital Content Creation (デジタルコンテンツ制作):写真編集、動画編集、レンダリングなど、負荷の高いクリエイティブな作業における性能を測定します。
なお今回は、設定をカスタマイズできる、PCMark 10 Extendedを実行します。GPUがスコアへ影響するのを防ぐために、「Use OpenCL」と「Use hardware-accelerated video processing」を無効化するためです。
Core i7-14700FのスコアはCore Ultra 7 265Fを若干上回り、Ryzen 7 9800X3Dに肉薄しています。Core i7-14700Fのコア数、スレッド数は多く、それがそのままスコアに影響を与えていると思われます。
Core i7-14700FのスコアはRyzen 7 7700、Ryzen 7 7800X3Dを上回りますが、Core Ultra 7 265Fを下回ります。
Core i7-14700FのスコアはCore Ultra 7 265Fを大きく下回り、さらにRyzen 7 7700、Ryzen 7 7800X3Dを下回っています。
Blender benchmark
Blender Benchmarkは、オープンソースの3Dソフトウェア「Blender」におけるPCのレンダリング性能を計測するための公式ベンチマークツールです。今回はGPUではなく、CPUでレンダリングして性能を計測します。
Core i7-14700Fのスコアは、Ryzen 7 7700、Ryzen 7 7800X3Dを上回り、Ryzen 7 9700Xを下回ります。
Aviutlでのエンコード
無料の動画編集ソフトのAviutlで、x264コーデックでエンコードにかかった時間を計測します。素材は10分間のmov形式の4K動画です。
Core i7-14700Fのエンコードにかかった時間は14分37秒でした。Core Ultra 7 265Fと比較して、約20秒遅く処理を終えています。
Core i7-14700Fの消費電力
CINEBENCH 2024を10分間連続で実行し、CPUの単体の消費電力を「HWiNFO」で計測しました。
Core i7-14700Fの平均消費電力は75W、最大消費電力は100Wでした。平均消費電力で比較すると、Core Ultra 7 265Fを若干上回り、Ryzen 7 7800X3Dとほぼ同等です。
Core i7-14700Fのレビューまとめ

- マルチコア性能が高い
- 消費電力は低い
- DDR4メモリに対応
- ゲーム性能が低い
- コストパフォーマンスが悪い
Core i7-14700Fはコア数スレッドが多く、マルチコア性能が高いのは魅力的ですが、それ以外の性能はイマイチです。
特にゲーム性能はRyzen 7 7700や、後継のCore Ultra 7 265Fと比較した場合は一段階低いです。
ゲームにおいてはいくらマルチコア性能が高くともあまり関係なく、Core i7-14700Fの強みが活かせません。
またCPU単体の価格も高騰しており、コストパフォーマンスも悪化しています。正直、同価格帯のRyzen 7 9700Xを買う方が遥かにマシな状況です。
BTOにおいても、Core i7-14700F搭載モデルよりも、Core i7-14700Fより安く、それでいてゲーム性能が高いRyzen 7 7700搭載モデルを選ぶことをおすすめします。
残念ながら現状では積極的に選ぶ価値がないCPUとなっています。

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