Core Ultra 7 265Fは、2025年2月に発売されたインテルのデスクトップ向けCPUです。
Arrow Lakeアーキテクチャーを採用したモデルで、Core Ultra 200Sシリーズのオーバークロック非対応のモデルです。
Core Ultra 7 265Kと異なり、オーバークロック非対応となったことで、TDP65Wに抑えられており、扱いやすくなっています。
そのため、BTOによく採用されています。
今回の記事では他のCPUと比較して、Core Ultra 7 265Fの基本ベンチマーク、ゲームでのフレームレート、クリエイティブ作業での実力を徹底検証します。
Core Ultra 7 265Fの仕様

| Core Ultra 7 265F | Core Ultra 7 265K | Core i7-14700F | |
| アーキテクチャー | Arrow Lake | Arrow Lake | Raptor Lake-S Refresh |
| プラットフォーム | LGA 1851 | LGA 1851 | LGA 1700 |
| コア数 | 20(P8+E12) | 20(P8+E12) | 20(P8+E12) |
| スレッド数 | 20 | 20 | 28 |
| ベースクロック | Pコア=2.4GHz Eコア=1.8GHz | Pコア=3.9GHz Eコア=3.3GHz | 2.1GHz |
| ブーストクロック | Pコア=5.3GHz Eコア=4.6GHz | Pコア=5.5GHz Eコア=4.6GHz | 5.4GHz |
| L2キャッシュ | 36MB | 36MB | 28MB |
| L3キャッシュ | 30MB | 30MB | 33MB |
| TDP | 65W | 125W | 65W |
| 対応メモリ | DDR5-6400 | DDR5-6400 | DDR5-5600 DDR4-3200 |
| グラフィックス機能 | – | Intel Graphics | – |
| 参考価格 ※2025年12月 | 53,980円 | 48,980円 | 48,480円 |
Core Ultra 7 265Fは今までのインテルCoreシリーズと異なり、設計を一新したCore Ultra 200Sシリーズのオーバークロック非対応のCPUです。
Core Ultra 7 265Kと比べると、クロックが全体的に落とされており、TDPが125W→65Wに抑えられています。
Core Ultra 200Sシリーズからハイパースレッディングが削除されているのが大きな特徴となっています。
そのため、Core i7-14700Fと比べると、スレッド数が少ないです。
CPU-Zで取得したCore Ultra 7 265Fの情報を見る

検証環境
検証機のスペック

| パーツ | 製品名 |
|---|---|
| マザーボード | GIGABYTE B760 AORUS ELITE |
| ビデオカード | 玄人志向 RD-RX9070XT-E16GB/TP |
| CPUクーラー | サイズ MUGEN6 Black Edtion |
| メモリ | 16GB×2、DDR5-4800 |
| システム用SSD | WD_BLACK SN770 NVMe |
| アプリケーション用SSD | Kingston NV3 |
| 電源 | MSI MAG A850GL PCIE5 |
| PCケース | ADATA XPG VALOR AIR |
| OS | Windows 11 HOME(24H2) |
| 電源プラン | バランス |
検証環境は、一般的なBTOパソコンと同じような構成です。特に高価なパーツは使用していません。またCPUの設定はオーバークロックなどは一切せず、デフォルトの状態です。

ビデオカードは、RADEONのRX 9070 XTを使用。Core Ultra 7 265FがどれだけRX 9070 XTのゲーム性能を引き出せるのか検証します。
比較対象のCPU

Core Ultra 7 265Fの比較対象として下記のCPUを用意しました。
- Core i7-14700F
- Ryzen 7 9800X3D
- Ryzen 7 7800X3D
- Ryzen 7 9700X
- Ryzen 7 7700
- Ryzen 7 5700X
Core Ultra 7 265Fの基本ベンチマーク
CINEBENCH 2024
レンダリングベンチマークの最新バージョンのCINEBENCH 2024で、CPUの性能を計測します。
まず、マルチスコアです。
Core Ultra 7 265Fのマルチスコアは、20コア28スレッドのCoer i7-14700Fを大幅に上回っています。さらに、Ryzen 7 9800X3Dも上回っており、こちらも差をつけて上回っています。
続いて、シングルスコアです。ゲームにおいてはシングル性能が重要なので、ゲーム目的であればこちらのスコアも要注目です。
Core Ultra 7 265FのシングルスコアはCore i7-14700Fを大きく上回り、Ryzen 7 9700Xとほぼ同等です。
3D Mark
GPU(グラフィックボード)の3D描画性能を計測する3D Markです。
DirectX 11に対応するテストのFire Strikeです。フルHD解像度でテストするので、負荷は軽めでCPU性能がスコアに影響します。
Core Ultra 7 265FのスコアはCore i7-14700Fを大きく上回っていますが、Ryzen 7 7700を大きく下回っています。
Core Ultra 7 265Fのゲームベンチマーク
Assassin’s Creed Shadows

・解像度:フルHD
・画質:最高
・レイトレーシング:隠れ家のみ
・アップスケーリング:DLSSクオリティ
・フレーム生成:有効
Core Ultra 7 265Fの平均fpsはRyzen 7 9800X3Dを上回り、Core i7-14700Fとほぼ同等です。
ただし、このゲームはGPU依存度が高く、また3DVキャッシュの効果が効きづらいため、CPUによる差はあまりありません。
しいて言うなら、インテルCPUが若干有利な印象です。
Monster Hunter Wilds

・解像度:フルHD
・画質:ウルトラ
・レイトレーシング:高
・アップスケーリング:FSRクオリティ
・フレーム生成:オン
※ベンチマークソフトで計測
Core Ultra 7 265Fの平均fpsはCore i7-14700Fを大きく上回り、Ryzen 7 7700とほぼ同等です。
Cyberpunk 2077

・解像度:フルHD
・画質:ウルトラ
・アップスケーリング:FSRクオリティ
・フレーム生成:オン
※ベンチマークモードで計測
Core Ultra 7 265Fの平均fpsはCore i7-14700Fを大きく上回っていますが、Ryzen 7 7700を大きく下回っています。
Marvel Rivals

・解像度:フルHD
・画質:最高※ルーメンオフ
・アップスケーリング:FSRクオリティ
・フレーム生成:オン
※ベンチマークモードで計測
Core Ultra 7 265Fの平均fpsはCore i7-14700Fを上回っていますが、Ryzen 7 9700Xを大きく下回っています。
FFXIV: 黄金のレガシー

・解像度:フルHD
・画質:最高
※ベンチマークソフトで計測
Core Ultra 7 265Fの平均fpsはCore i7-14700Fを若干上回っていますが、Ryzen 7 7700を若干下回ります。
Deus Ex: Mankind Divided

・解像度:フルHD
・画質:ウルトラ
※ベンチマークモードで計測
Core Ultra 7 265Fの平均fpsはCoer i7-14700Fを上回り、Ryzen 7 7700とほぼ同等です。
Fotnite

・解像度:フルHD
・画質:最高※Naniteオフ
・アップスケーリング:XeSSクオリティ
※ベンチマークモードで計測
Core Ultra 7 265Fの平均fpsはCore i7-14700Fを大きく下回り、今回検証したCPUの中では一番伸び悩んでいます。
このゲームに関しては、Core Ultraシリーズと相性が悪い可能性があります。
Skull and Bones

・解像度:フルHD
・画質:ウルトラ※レイトレーシングオフ
・アップスケーリング:FSRクオリティ
※ベンチマークモードで計測
Core Ultra 7 265Fの平均fpsはCore i7-14700Fを大きく上回り、Ryzen 7 7700とほぼ同等です。
Tom Clancy’s Rainbow Six Siege X

・解像度:フルHD
・画質:ウルトラ+
・アップスケーリング:FSRクオリティ
※ベンチマークモードで計測
Core Ultra 7 265Fの平均fpsはCore i7-14700Fを若干下回り、Ryzen 7 7700とほぼ同等です。
全9ゲームの平均fps
全9ゲームの平均fpsです。
Core Ultra 7 265Fのゲーム性能はCore i7-14700Fを上回り、Ryzen 7 7700とほぼ同等です。ただ、ライバルのRyzen 7 9700Xとは大きな差をつけられて下回ります。
Core Ultra 7 265Fのクリエイティブ系ベンチマーク
PC Mark 10
PCMark 10は、Windows PCの総合的な性能を評価するための業界標準のベンチマークソフトです。下記の3つの要素でベンチマークを行い、スコアを算出します。
- Essentials (基本性能):Webブラウジング、ビデオ会議、アプリの起動時間など、毎日の基本的なニーズを満たすための性能を測定します
- Productivity (生産性):スプレッドシート(表計算)やライティング(文章作成)など、一般的なオフィス作業における性能を測定します。
- Digital Content Creation (デジタルコンテンツ制作):写真編集、動画編集、レンダリングなど、負荷の高いクリエイティブな作業における性能を測定します。
なお今回は、設定をカスタマイズできる、PCMark 10 Extendedを実行します。GPUがスコアへ影響するのを防ぐために、「Use OpenCL」と「Use hardware-accelerated video processing」を無効化するためです。
Core Ultra 7 265FのスコアはRyzen 7 7700を若干上回り、Core i7-14700Fとほぼ同等です。
Core Ultra 7 265FのスコアはCoer i7-14700Fを上回りますが、Ryzen 7 9700Xを下回ります。
Core Ultra 7 265FのスコアはCore i7-14700Fを大きく上回り、Ryzen 7 9700Xとほぼ同等です。
Blender benchmark
Blender Benchmarkは、オープンソースの3Dソフトウェア「Blender」におけるPCのレンダリング性能を計測するための公式ベンチマークツールです。今回はGPUではなく、CPUでレンダリングして性能を計測します。
Core Ultra 7 265Fのスコアは、Core i7-14700Fを大きく上回り、今回検証したCPUの中では最も優秀なスコアでした。
Aviutlでのエンコード
無料の動画編集ソフトのAviutlで、x264コーデックでエンコードにかかった時間を計測します。素材は10分間のmov形式の4K動画です。
Core Ultra 7 265Fのエンコードにかかった時間は14分14秒でした。Core i7-14700Fと比べて、約20秒早く処理を終えています。ただ、他のRyzen勢と比べると処理にかかった時間は遅いです。
Core Ultra 7 265Fの消費電力
CINEBENCH 2024を10分間連続で実行し、CPUの単体の消費電力を「HWiNFO」で計測しました。
Core Ultra 7 265Fの平均消費電力は66W、最大消費電力は174Wでした。平均消費電力で比較すると、Core i7-14700Fを若干下回っています。特にRyzen 7 9800X3Dと比較するとほぼ半分の消費電力となっています。
なお最大消費電力が高いのは一瞬PL2動作に移行するためです。すぐにPL1、いわゆる65Wに収まるように消費電力が抑えられます。
Core Ultra 7 265Fのレビューまとめ

- マルチコア性能が高い
- シングルコア性能が高い
- クリエイティブ性能が高い
- Core i7-14700Fを上回るゲーム性能
- 消費電力は低い
- ライバルのRyzen 7 9700Xと比べると大きくゲーム性能は落ちる
- コストパフォーマンスが悪い
Core Ultra 7 265Fはコア数スレッドが多く、マルチコア性能が高いのはもちろん、シングル性能も高く、一見性能が高そうなCPUに見えます。
ただ、ゲーム性能に関してはイマイチで、Coer i7-14700Fを上回りますが、ほぼ同価格帯のRyzen 7 9700Xを大きく下回ります。
さらにFortniteなど、一部のゲームだと平均fpsが極端に落ちてしまうのも気になります。
度重なるBIOSアップデートで確かにゲーム性能は向上しましたが、まだまだ最適化されていない印象です。
現時点ではほぼ同価格のRyzen 7 9700Xを選ぶことをおすすめします。

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