RTX 5050は、2025年7月4日に発売されたRTX 50シリーズのローエンドモデルに位置づけられるGPUです。
デスクトップ向けのRTX 4050は販売されなかったので、デスクトップ向けのローエンドモデルとしては、RTX 3050以来2世代ぶりとなります。
本記事では、RTX 5050の基本性能や特徴を詳しく解説し、実際のゲームでのパフォーマンスを検証します。最後にRTX 5050搭載のおすすめゲーミングPCを紹介します。
RTX 5050の基本性能
| RTX 3050(8GB) | RTX 5050 | RTX 5060 | |
| アーキテクチャー | Ampere | Blackwell | Blackwell |
| SM | 20基 | 20基 | 30基 |
| CUDAコア | 2,560基 | 2,560基 | 3,840基 |
| RTコア | 20基(Gen2) | 20基(Gen4) | 30基(Gen4) |
| Tensorコア | 80基(Gen3) | 80基(Gen5) | 120基(Gen5) |
| L2キャッシュ | 2MB | 24MB | 24MB |
| ベース/ブーストクロック | 1,552MHz / 1,777MHz | 2,317MHz / 2,572MHz | 2,280MHz / 2,497MHz |
| VRAM | GDDR6 8GB | GDDR6 8GB | GDDR7 8GB |
| メモリーデータレート | 14Gbps | 20Gbps | 28Gbps |
| メモリーバス幅 | 128bit | 128bit | 128bit |
| メモリー帯域 | 224GB/s | 320GB/s | 448GB/s |
| PCI-Express | Gen4×8 | Gen5×8 | Gen5×8 |
| グラフィックスカード電力 | 130W | 130W | 145W |
上記の表は、RTX 5050のスペックをRTX 3050、RTX 5060と比較したものです。
RTX 3050と比較した場合、スペックはほとんど似通っています。ただし、RTX 5050のアーキテクチャーはBlackwellへ進化しており、さらに、メモリー帯域は太くなっているので、より高負荷な処理はRTX 5050の方が上回っています。
一方、RTX 5060と比較した場合は、明らかにスペックは落とされています。3Dグラフィックス性能で重要なCUDAコア数も1000基以上少なく、さらにVRAMもGDDR7ではなく、旧世代のGDDR6が採用されています。
そのため、メモリー帯域はRTX 5060の方が太く、より高負荷な処理が得意です。
ビデオカード単体の価格は3万円代後半を維持している印象です。
RTX 5050の特徴
MFGに対応

「MFG(Multi Frame Generation)」は、NVIDIAが開発した画期的な新しいフレーム生成技術です。
従来のフレーム生成技術(既存のDLSS FGなど)が1つのレンダリングフレームにつき1つの追加フレームを生成していたのに対し、MFGは最大で3つのフレームを追加生成できます。
これによって、DLSS FGよりも遥かに高いフレームレートを実現し、よりスムーズで快適なゲーム体験が可能です。
ただし、この先進的なMFG技術は、NVIDIAの最新グラフィックボード「RTX 50シリーズ」でのみ利用可能な限定機能です。もちろん、RTX 5050も対応しています。

MFGはNVIDIA AppからDLSSオーバーライドすることで設定できます。

若しくはゲーム上のオプションから直接設定できます。
VRAM8GB

VRAMはGPU専用のメモリで、主にゲーム中に激しく消費します。VRAMにはGPUごとに容量が決まっていて、この容量を超えたとき、ゲームの快適性が損なわれる危険性があります。
具体的にはフレームレートが全くでない、そして最悪、ゲームが起動しないなんてことも。そんなVRAMですが、RTX 5050のVRAM容量は8GBと現代の基準だと少ないです。
高負荷なゲームでは、フルHD解像度ですら、VRAMを8GB以上消費するなんてこともザラにあります。RTX 5050でVRAM不足を感じた場合、グラフィックスの設定を下げて、VRAM消費量を8GB以内に抑える必要があります。
なにがなんでも最高設定のグラフィックでゲームをプレーしたいという方には明確なデメリットと言えます。
検証環境
検証するゲームタイトルについて
ここからはゲームベンチマークでRTX 5050のゲーム性能を検証します。
検証したゲームタイトルは下記の8タイトルです。
- Assassin’s Creed Shadows
- Ghost of Tsushima
- Monster Hunter Wilds
- Cyberpunk 2077
- Marvel Rivals
- FFXIV: 黄金のレガシー
- Stellar Blade
- F1 25
ゲームのグラフィックはそのゲーム内の最高設定にしています。また、フレーム生成は有効にし、MFG対応ゲームにおいてはMFG×4に設定しています。
比較対象のグラボ
RTX 5050の比較対象として下記のグラボを用意しました。
- RTX 4060(VRAM8GB)
- RTX 5060(VRAM8GB)
- RTX 3050(VRAM6GB)
- RX 7600(VRAM8GB)
- Arc B580(VRAM12GB)
RTX 5050と同じ価格帯のローエンド帯のGPUです。この中では、Arc B580のみVRAM12GBを搭載し、RTX 3050はVRAM6GB版を使用しています。後のGPUは全てVRAM8GBを搭載しています。

3Dグラフィックス性能測定のためのベンチマークソフトで、今回検証に使用したGPUのスコアを比較しました。
ラスタライズ性能をテストするSteel Nomad、レイトレーシング性能をテストするSpeed Wayの2種類のテストを使用しました。
RTX 5050のスコアはRTX 4060と非常に似通っていることが分かります。Steel NomadではRTX 5050が上回り、Speed WayではRTX 4060が上回っていますが、その差はごくわずかで、3Dグラフィック性能はほぼ互角といっていいです。
検証機のスペック

| パーツ | 製品名 |
|---|---|
| マザーボード | ASUS ROG STRIX B650-A GAMING WIFI |
| CPU | Ryzen 7 7800X3D |
| ビデオカード | ZOTAC GAMING GeForce RTX 5050 SOLO |
| CPUクーラー | PCCOOLER GAME ICE K4 |
| メモリ | Kingston FURY Renegade DDR5 RGB メモ (16GB×2、DDR5-4800) |
| システム用SSD | WD_BLACK SN770 NVMe |
| アプリケーション用SSD | Kingston NV3 |
| 電源 | MSI MAG A850GL PCIE5 |
| PCケース | 長尾製作所 SMZ-2WBT-ATX |
| OS | Windows 11 HOME(24H2) |
| 電源プラン | バランス |
CPUにはRyzen 7 7800X3Dを使用しています。3DVキャッシュを搭載しており、ゲーム性能が非常に高いCPUです。RTX 5050の性能を最大限引き出すことができます。


「ZOTAC GAMING GeForce RTX 5050 SOLO」です。カード長は164mmと短いシングルファン仕様のコンパクトなモデルです。バックプレートはありません。
RTX 5050のゲーム性能
Assassin’s Creed Shadowsの平均fps

・画質:最高
・レイトレーシング:全体的に拡散+反射
・アップスケーリング:DLSS/FSR/XeSSクオリティ
・フレーム生成:有効

RTX 5050の平均フレームレートは、フルHDで84fps、WQHDで71fpsでした。
MFG×4を有効にすることで、RTX 4060では不可能だったフルHD、WQHDで、平均60fpsを超えます。
Ghost of Tsushimaの平均fps

・画質:非常に高い
・アップスケーリング:DLSS/FSRクオリティ
・フレーム生成:オン
※1分間フィールドを馬で駆け抜けてるときに計測

RTX 5050の平均フレームレートは、フルHDで89fps、WQHDで76fpsでした。
平均フレームレートで、若干、RTX 4060を下回ります。
Monster Hunter Wildsの平均fps

・画質:ウルトラ
・レイトレーシング:高
・アップスケーリング:DLSS/FSRクオリティ
・フレーム生成:オン
※ベンチマークソフトで計測

RTX 5050の平均フレームレートは、フルHDで35fps、WQHDで23fpsでした。
ウルトラ設定では、VRAM消費が8GBを超えるため、RTX 5050を含むVRAM8GBのGPUの平均フレームレートは大きく伸び悩んでいます。
RTX 5050で平均60fps以上を出すには、グラフィックの設定を下げる必要があります。
一方、VRAM12GBあるArc B580はフルHDでも平均60fpsを超えています。

RX 7600もVRAM 8GBですが平均60fpsを超えています。ただ、テクスチャを簡略化しているため、無理やりフレームレートを出している感じです。
Cyberpunk 2077の平均fps


・画質:オーバードライブ
・アップスケーリング:DLSS/FSRクオリティ
・フレーム生成:オン
※ベンチマークモードで計測


RTX 5050の平均フレームレートは、フルHDで29fps、WQHDで16fpsでした。
オーバードライブ設定にすると自動的にパストレーシングが有効になり、VRAM消費が8GBを超えます。そのため、RTX 5050の平均fpsは伸び悩んでいます。もちろん、RTX 5050以外のVRAM8GBのGPUも同様です。
例え、MFGを有効にしたとしても、全くフレームレートを出せないので宝の持ち腐れ状態となっています。
唯一、フルHDで平均60fpsを超えているのが、Arc B580だけです。VRAM12GB搭載しているので、VRAM不足に陥っていません。
Marvel Rivalsの平均fps


・画質:最高
・アップスケーリング:DLSS/FSR/XeSSクオリティ
・フレーム生成:オン
※ベンチマークモードで計測


RTX 5050の平均フレームレートは、フルHDで190fps、WQHDで109fpsでした。
MFG×4を有効にすることで、フルHDで平均200fpsに迫るフレームレートを出せます。
FFXIV: 黄金のレガシーの平均fps


・画質:最高
※ベンチマークソフトで計測


RTX 5050の平均フレームレートは、フルHDで115fps、WQHDで73fpsでした。
RTX 4060だけでなく、RX 7600の平均フレームレートを若干下回りました。
Stellar Bladeの平均fps


・画質:とても高い
・アップスケーリング:DLSS/FSRクオリティ
・フレーム生成:オン
※1分間走ってフレームレートを計測


RTX 5050の平均フレームレートは、フルHDで279fps、WQHDで177fpsでした。
MFG×4を有効にすることで、フルHDで平均300fpsに迫るフレームレートを出せます。
F1 25の平均fps


・画質:超最大
・アップスケーリング:DLSS/FSR/XeSSクオリティ
・フレーム生成:オン
※ベンチマークモードで計測


RTX 5050の平均フレームレートは、フルHDで107fps、WQHDで66fpsでした。
超最大設定にするとパストレーシングが有効になり、負荷は非常に重くなります。ただ、RTX 5050はMFG×4を有効にすることで、フルHDで100fpsを超えます。
RTX 5050の消費電力


ラトックシステムのワットチェッカーの「RS-BTWATCH2」を使用し、GPU単体ではなく、システム全体の消費電力を測定します。
上記の表は、FFXIV: 黄金のレガシーベンチマーク(4K・最高設定)実行中の平均・最大消費電力をまとめたものです。
RTX 5050の消費電力は、RTX 4060から確実に増えています。ローエンドGPUとして考えると消費電力は若干高めの印象です。
RTX 5050のレビューまとめ


- コストパフォーマンスが高い
- ゲーム性能はRTX 4060に匹敵
- MFGを使うとRTX 4060を大きく上回るゲーム性能を発揮
- フルHDゲーミングに最適
- WQHDゲーミングも十分可能
- VRAM8GB
- 4Kゲームは厳しい
RTX 5050は、RTX 4060に、MFGという付加価値をつけたものと言えます。
一言で言えば、MFG機能付きのRTX 4060のような性能を持っています。MFGを有効にした際の爆発的なFPSの伸びはとてもローエンドGPUとは思えません。
同じローエンドGPUのRTX 3050とは比較にならないほど、ゲーム性能は高いです。
ただし、VRAM8GBなのは明確なデメリットです。
VRAM消費が8GBを超えると、フレームレートが全く伸びなくなります。
実際、モンハンワイルズなど、VRAM消費が激しいゲームの検証において、平均フレームレートがVRAM12GB搭載のArc B580を下回ることも確認できました。
もしVRAM不足を感じた場合、グラフィックの設定を下げる必要があります。
Apex LegendsのようなVRAM消費がおとなしい基本無料のゲームとの相性は良好で、そういったゲームをなるべく低価格で済ませたいというのであれば、RTX 5050は最有力の候補になります。
RTX 5050のおすすめゲーミングPC
【Z1series】Ryzen5 5500・RTX5050 8G


| 【Z1series】Ryzen5 5500・RTX5050 8Gのスペック | |
|---|---|
| OS | Windows 11 home |
| CPU | Ryzen 5 5500 |
| GPU | RTX 5050 |
| CPUクーラー | 空冷 |
| メモリ | 16GB(16GB×1) |
| ストレージ | 1TB(M.2 SSD) |
| マザーボード | MSI A520M-A PRO |
| 電源 | 650W 80 PLUS BRONZE |
| 無線LAN | 無し |
| 保証期間 | 1年 |
| 価格 | 99,800円 ※クーポン「OZM2501」適用価格 |
まとめ
RTX 5050はローエンドGPUとしては破格のゲーム性能を有しています。
MFG対応ゲームでのフレームレートの爆発的な伸びは、目を見張るものがあります。
MFGに非対応のゲームでもRTX 4060並みのゲーム性能を発揮している点も魅力的です。
とにかく安く、それでいてなるべくゲーム性能が高いゲーミングPCを探しているのであれば、RTX 5050搭載モデルはおすすめできます。
よくある質問まとめ
- RTX 5050搭載モデルは初心者におすすめですか?
-
最安モデル10万円代前後で購入でき、ゲーム性能もMFG込みで考えると破格の性能を持っています。初めてのゲーミングPCとしておすすめできます。
- VRAM8GBが不安ですが大丈夫でしょうか。
-
Apex Legends、Fortniteのような基本無料のゲームはVRAM消費が抑えられているので、そういったゲームを中心にプレーするのであれば問題ありません。
- 組み合わせるCPUは何がおすすめですか?
-
RTX 5050はローエンドGPUですが、ゲーム性能はなかなか高いです。最低でもRyzen 7 5700Xあたりをおすすめします。ゲーム性能の低いRyzen 5 4500はおすすめできません。
動画版はこちらから↓。

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