Ryzen 5 4500は、2022年6月に発売されたAMDのデスクトップ向けCPUです。
2020年に発売されたRyzen 5 4650Gから内蔵グラフィックを省いたモデルといえるので、4000シリーズという名前はついていますが、実質的にZEN2の旧世代CPUと言えます。
ZEN2ということで性能には期待は持てませんが、価格は安いこともあり、低価格のBTOにはよく採用されています。
今回の記事では他のCPUと比較して、Ryzen 5 4500の基本ベンチマーク、ゲームでのフレームレート、クリエイティブ作業での実力を徹底検証します。
Ryzen 5 4500の仕様

| Ryzen 5 4500 | Ryzen 7 5700X | |
| アーキテクチャー | Zen 2アーキテクチャ | Zen 3アーキテクチャ |
| プラットフォーム | Socket AM4 | Socket AM4 |
| コア数 | 6 | 8 |
| スレッド数 | 12 | 16 |
| ベースクロック | 3.6GHz | 3.4GHz |
| ブーストクロック | 4.1GHz | 4.6GHz |
| L2キャッシュ | 3MB | 4MB |
| L3キャッシュ | 8MB | 32MB |
| TDP | 65W | 65W |
| 対応メモリ | DDR4-3200 | DDR4-3200 |
| グラフィックス機能 | なし | なし |
| 参考価格 ※2025年11月 | 13,980円 | 22,800円 |
Ryzen 5 4500はベースがRyzen 5 4650GというZEN2世代のAPUなので、色々とスペックが削られています。
例えば、ゲームで重要となる、L3キャッシュの容量はわずか8MBと極端に少ないです。例えば、Ryzen 7 5700Xと比較した場合、24MBもL3キャッシュの容量は少ないということになります。
それ以外にも、ビデオカードと接続した場合、Gen3 x8接続になるので、ビデオカードの性能をフルに活かせない問題も発生します。
このようにRyzen 5 4500は価格は安いけど、それ以外に犠牲になったものがあまりにも多すぎるCPUと言えます。
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検証環境
検証機のスペック

| パーツ | 製品名 |
|---|---|
| マザーボード | ASRock B550M Pro4 |
| ビデオカード | 玄人志向 RD-RX9070XT-E16GB/TP |
| CPUクーラー | リテールクーラー |
| メモリ | 16GB×2、DDR4-3200 |
| システム用SSD | WD_BLACK SN770 NVMe |
| アプリケーション用SSD | Kingston NV3 |
| 電源 | MSI MAG A850GL PCIE5 |
| PCケース | JONSBO D32 PRO |
| OS | Windows 11 HOME(24H2) |
| 電源プラン | バランス |
検証環境は、一般的なBTOパソコンと同じような構成です。特に高価なパーツは使用していません。またCPUの設定はオーバークロックなどは一切せず、デフォルトの状態です。

ビデオカードは、RADEONのRX 9070 XTを使用。Ryzen 5 4500がどれだけRX 9070 XTのゲーム性能を引き出せるのか検証します。
比較対象のCPU

Ryzen 7 5700Xの比較対象として下記のCPUを用意しました。Ryzen 5 4500と同じエントリー~ミドル帯のCPUです。
- Core i5-14400F
- Core i5-12400
- Ryzen 5 7500F
- Ryzen 7 5700X
Ryzen 5 4500の基本ベンチマーク
CINEBENCH 2024
レンダリングベンチマークの最新バージョンのCINEBENCH 2024で、CPUの性能を計測します。
まず、マルチスコアです。
Ryzen 5 4500のマルチスコアは554で、同じ6コア12スレッドのCore i5-12400を下回っています。
続いて、シングルスコアです。ゲームにおいてはシングル性能が重要なので、ゲーム目的であればこちらのスコアも要注目です。
Ryzen 5 4500のシングルスコアは73で、今回検証した他のCPUと比較して一段階スコアが低いです。
3D Mark
GPU(グラフィックボード)の3D描画性能を計測する3D Markです。
DirectX 11に対応するテストのFire Strikeです。フルHD解像度でテストするので、負荷は軽めです。
Ryzen 5 4500のスコアは、Core i5-12400を大きく下回り、今回検証したCPUの中で断トツの最下位です。
続いて最新のDirectX 12 Future Level 12_0に対応するSteel Nomadです。今回は軽量版のSteel Nomad Lightを使用します。WQHD解像度でテストするので、負荷は重めです。
負荷は重いので、CPUによる差はほとんどなく、Ryzen 5 4500はCore i5-12400を若干下回るスコアでした。
Ryzen 5 4500のゲームベンチマーク
Assassin’s Creed Shadows

・解像度:フルHD
・画質:最高
・レイトレーシング:隠れ家のみ
・アップスケーリング:DLSSクオリティ
・フレーム生成:有効
Ryzen 5 4500の平均fpsは今回検証したCPUの中で最も伸び悩んでいます。Ryzen 5 5700Xなどと比較して、約20fps落ち込んでいます。v
Monster Hunter Wilds

・解像度:フルHD
・画質:ウルトラ
・レイトレーシング:高
・アップスケーリング:FSRクオリティ
・フレーム生成:オン
※ベンチマークソフトで計測
Ryzen 5 4500の平均fpsは今回検証したCPUの中で最も伸び悩んでいます。Ryzen 5 5700Xなどと比較して、約50fps落ち込んでいます。
Cyberpunk 2077

・解像度:フルHD
・画質:ウルトラ
・アップスケーリング:FSRクオリティ
・フレーム生成:オン
※ベンチマークモードで計測
Ryzen 5 4500の平均fpsは今回検証したCPUの中で最も伸び悩んでいます。Core i5-12400と比較して、約90fps落ち込んでいます。
Marvel Rivals

・解像度:フルHD
・画質:最高※ルーメンオフ
・アップスケーリング:FSRクオリティ
・フレーム生成:オン
※ベンチマークモードで計測
Ryzen 5 4500の平均fpsは今回検証したCPUの中で最も伸び悩んでいます。Ryzen 7 5700Xと比較して、約50fps落ち込んでいます。
FFXIV: 黄金のレガシー

・解像度:フルHD
・画質:最高
※ベンチマークソフトで計測
Ryzen 5 4500の平均fpsは今回検証したCPUの中で最も伸び悩んでいます。Core i5-12400と比較して、約50fps落ち込んでいます。
F1 25の平均fps

・解像度:フルHD
・画質:超最大※パストレーシング・レイトレーシングオフ
・アップスケーリング:FSRクオリティ
・フレーム生成:オン
※ベンチマークモードで計測
Ryzen 5 4500の平均fpsは今回検証したCPUの中で最も伸び悩んでいます。Core i5-12400と比較して、約90fps落ち込んでいます。
Deus Ex: Mankind Divided

・解像度:フルHD
・画質:ウルトラ
※ベンチマークモードで計測
Ryzen 5 4500の平均fpsは今回検証したCPUの中で最も伸び悩んでいます。Ryzen 7 5700Xと比較して、約40fps落ち込んでいます。
Fotnite

・解像度:フルHD
・画質:最高※Naniteオフ
・アップスケーリング:XeSSクオリティ
※ベンチマークモードで計測
Ryzen 5 4500の平均fpsは今回検証したCPUの中で最も伸び悩んでいます。Ryzen 5 5700Xなどと比較して、約70fps落ち込んでいます。
Skull and Bones

・解像度:フルHD
・画質:ウルトラ※レイトレーシングオフ
・アップスケーリング:FSRクオリティ
※ベンチマークモードで計測
Ryzen 5 4500の平均fpsは今回検証したCPUの中で最も伸び悩んでいます。Core i5-12400と比較して、約30fps落ち込んでいます。
Tom Clancy’s Rainbow Six Siege X

・解像度:フルHD
・画質:ウルトラ+
・アップスケーリング:FSRクオリティ
※ベンチマークモードで計測
Ryzen 5 4500の平均fpsは今回検証したCPUの中で最も伸び悩んでいます。Ryzen 7 5700Xと比較して、約70fps落ち込んでいます。
全10ゲームの平均fps
Ryzen 5 4500の全10ゲームの平均fpsは、今回検証したCPUの中で断トツに最下位で、全く勝負になりません。
Ryzen 5 4500のクリエイティブ系ベンチマーク
PC Mark 10
PCMark 10は、Windows PCの総合的な性能を評価するための業界標準のベンチマークソフトです。下記の3つの要素でベンチマークを行い、スコアを算出します。
- Essentials (基本性能):Webブラウジング、ビデオ会議、アプリの起動時間など、毎日の基本的なニーズを満たすための性能を測定します
- Productivity (生産性):スプレッドシート(表計算)やライティング(文章作成)など、一般的なオフィス作業における性能を測定します。
- Digital Content Creation (デジタルコンテンツ制作):写真編集、動画編集、レンダリングなど、負荷の高いクリエイティブな作業における性能を測定します。
なお今回は、設定をカスタマイズできる、PCMark 10 Extendedを実行します。GPUがスコアへ影響するのを防ぐために、「Use OpenCL」と「Use hardware-accelerated video processing」を無効化するためです。
Ryzen 5 4500のスコアは、Ryzen 7 5700Xを大きく下回っています。
Ryzen 5 7500FのスコアはEssentialsと同じく、Ryzen 7 5700Xを大きく下回っています。
Ryzen 5 4500のスコアはCore i5-12400を大きく上回っています。CPU性能の差が最もスコアに反映されるテストなので、Ryzen 5 4500はなかなか苦しいです。
Blender benchmark
Blender Benchmarkは、オープンソースの3Dソフトウェア「Blender」におけるPCのレンダリング性能を計測するための公式ベンチマークツールです。今回はGPUではなく、CPUでレンダリングして性能を計測します。
Ryzen 5 4500のスコアはCore i5-12400を大きく下回っています。
Aviutlでのエンコード
無料の動画編集ソフトのAviutlで、x264コーデックでエンコードにかかった時間を計測します。素材は10分間のmov形式の4K動画です。
Ryzen 5 4500のエンコードにかかった時間は23分6秒でした。Ryzen 7 5700Xと比べて2分以上遅く処理を終えています。
Ryzen 5 4500の消費電力
CINEBENCH 2024を10分間連続で実行し、CPUの単体の消費電力を「HWiNFO」で計測しました。
Ryzen 5 4500の平均消費電力は61W、最大消費電力は65Wでした。
今回検証したCPUの中では最も消費電力が低いです。
Ryzen 5 4500のレビューまとめ

- 価格が安い
- 消費電力は低い
- DDR4メモリに対応
- ゲーム性能が著しく低い
- クリエイティブ性能が低い
- ビデオカードがPCIe 3.0 x8接続になる
- ワットパフォーマンスが低い
- コストパフォーマンスが低い
Ryzen 5 4500の性能ははっきり言って最悪です。
特にゲーム性能の低さは致命的で、ゲームによってはRyzen 5 7500Fと比較した場合、平均fpsで100以上差が開く場合もあり、全くビデオカードの性能を引き出せません。
今回は、RX 9070 XTというハイエンド帯のビデオカードを使用しましたが、これが仮にRTX 5060などのミドル帯のビデオカードだったとしても、性能を引き出せないでしょう。
確かに、Ryzen 5 4500は安いですが、このゲーム性能の低さを見る限り、結局コストパフォーマンスが低いCPUと言えます。
あと1万プラスして、Ryzen 7 5700Xなどを選んだ方が遥かにマシです。

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