Ryzen 7 9700Xは、2024年8月に発売されたAMDのデスクトップ向けCPUです。
ZEN5アーキテクチャーを採用した、Ryzen 9000シリーズのミドルレンジのCPUです。
今回の記事では他のCPUと比較して、Ryzen 7 9700Xの基本ベンチマーク、ゲームでのフレームレート、クリエイティブ作業での実力を徹底検証します。
Ryzen 7 9700Xの仕様

| Ryzen 7 9700X | Ryzen 7 7700 | |
| アーキテクチャー | Zen 5アーキテクチャ | Zen 4アーキテクチャ |
| プラットフォーム | Socket AM5 | Socket AM5 |
| コア数 | 8 | 8 |
| スレッド数 | 16 | 16 |
| ベースクロック | 3.8GHz | 3.8GHz |
| ブーストクロック | 5.5GHz | 5.3GHz |
| L2キャッシュ | 8MB | 8MB |
| L3キャッシュ | 32MB | 32MB |
| TDP | 65W/105W | 65W |
| 対応メモリ | DDR5-5600 | DDR5-5200 |
| グラフィックス機能 | Radeon Graphics | Radeon Graphics |
| 参考価格 ※2025年12月 | 45,980円 | 46,663円 |
Ryzen 7 9700XはZEN 5アーキテクチャーを採用し、Zen 4アーキテクチャのRyzen 7 7700の後継モデルのCPUです。
プロセスルールが5nmから4nmに微細化、対応メモリがDDR5-5600に対応など、スペックが強化されています。
また、BIOSの設定が必要ですが、TSP105Wモードが用意され、性能を引き上げることが可能です。
CPU-Zで取得したRyzen 7 9700Xの情報を見る

検証環境
検証機のスペック

| パーツ | 製品名 |
|---|---|
| マザーボード | GIGABYTE B850 AORUS ELITE WIFI7 ICE |
| ビデオカード | 玄人志向 RD-RX9070XT-E16GB/TP |
| CPUクーラー | PCCOOLER GAME ICE K4 |
| メモリ | Kingston FURY Renegade DDR5 RGB メモ (16GB×2、DDR5-4800) |
| システム用SSD | WD_BLACK SN770 NVMe |
| アプリケーション用SSD | Kingston NV3 |
| 電源 | MSI MAG A850GL PCIE5 |
| PCケース | 長尾製作所 SMZ-2WBT-ATX |
| OS | Windows 11 HOME(24H2) |
| 電源プラン | バランス |
検証環境は、一般的なBTOパソコンと同じような構成です。特に高価なパーツは使用していません。またCPUの設定はオーバークロックなどは一切せず、デフォルトの状態です。

ビデオカードは、RADEONのRX 9070 XTを使用。Ryzen 7 9700XがどれだけRX 9070 XTのゲーム性能を引き出せるのか検証します。
比較対象のCPU

Ryzen 7 9700Xの比較対象として下記のCPUを用意しました。
- Core i7-14700F
- Core Ultra 7 265F
- Ryzen 7 9800X3D
- Ryzen 7 7800X3D
- Ryzen 7 7700
- Ryzen 7 5700X
Ryzen 7 9700Xの基本ベンチマーク
CINEBENCH 2024
レンダリングベンチマークの最新バージョンのCINEBENCH 2024で、CPUの性能を計測します。
まず、マルチスコアです。
Ryzen 7 9700Xのマルチスコアは、8コア16スレッドにも関わらず、20コア28スレッドのCore i7-14700Fに肉薄しています。
続いて、シングルスコアです。ゲームにおいてはシングル性能が重要なので、ゲーム目的であればこちらのスコアも要注目です。
Ryzen 7 9700XのシングルスコアはCore Ultra 7 265Fに肉薄しており、Ryzen 7 7700を大幅に上回っています。ZEN 5アーキテクチャーになったことでシングル性能は大幅に強化されています。
3D Mark
GPU(グラフィックボード)の3D描画性能を計測する3D Markです。
DirectX 11に対応するテストのFire Strikeです。フルHD解像度でテストするので、負荷は軽めでCPU性能がスコアに影響します。
Ryzen 7 9700XのスコアはRyzen 7 7700を大きく上回り、Ryzen 7 7800X3Dとほぼ同等です。
Ryzen 7 9700Xのゲームベンチマーク
Assassin’s Creed Shadows

・解像度:フルHD
・画質:最高
・レイトレーシング:隠れ家のみ
・アップスケーリング:DLSSクオリティ
・フレーム生成:有効
Ryzen 7 9700Xの平均fpsはRyzen 7 7800X3D、Ryzen 7 9800X3Dとほぼ同等です。
このゲームはGPU依存度が高く、CPUによる差はあまりありません。しいて言うなら、若干インテルCPUが有利な印象です。
Monster Hunter Wilds

・解像度:フルHD
・画質:ウルトラ
・レイトレーシング:高
・アップスケーリング:FSRクオリティ
・フレーム生成:オン
※ベンチマークソフトで計測
Ryzen 7 9700Xの平均fpsはRyzen 7 7700を大幅に上回っていますが、X3Dシリーズの両CPUを大きく下回っています。
Cyberpunk 2077

・解像度:フルHD
・画質:ウルトラ
・アップスケーリング:FSRクオリティ
・フレーム生成:オン
※ベンチマークモードで計測
Ryzen 7 9700Xの平均fpsはRyzen 7 7700を大幅に上回っていますが、X3Dシリーズの両CPUを大きく下回っています。
Marvel Rivals

・解像度:フルHD
・画質:最高※ルーメンオフ
・アップスケーリング:FSRクオリティ
・フレーム生成:オン
※ベンチマークモードで計測
Ryzen 7 9700Xの平均fpsはRyzen 7 7700を大幅に上回っていますが、X3Dシリーズの両CPUを大きく下回っています。
FFXIV: 黄金のレガシー

・解像度:フルHD
・画質:最高
※ベンチマークソフトで計測
Ryzen 7 9700Xの平均fpsはRyzen 7 7700を上回っていますが、X3Dシリーズの両CPUを大きく下回っています。
Deus Ex: Mankind Divided

・解像度:フルHD
・画質:ウルトラ
※ベンチマークモードで計測
Ryzen 7 9700Xの平均fpsはRyzen 7 7700を大幅に上回っていますが、X3Dシリーズの両CPUを大きく下回っています。
Fotnite

・解像度:フルHD
・画質:最高※Naniteオフ
・アップスケーリング:XeSSクオリティ
※ベンチマークモードで計測
Ryzen 7 9700Xの平均fpsはRyzen 7 7700を若干上回り、Ryzen 7 7800X3Dを若干下回ります。
Skull and Bones

・解像度:フルHD
・画質:ウルトラ※レイトレーシングオフ
・アップスケーリング:FSRクオリティ
※ベンチマークモードで計測
Ryzen 7 9700Xの平均fpsはRyzen 7 7700を上回り、Ryzen 7 7800X3Dを若干下回ります。
Tom Clancy’s Rainbow Six Siege X

・解像度:フルHD
・画質:ウルトラ+
・アップスケーリング:FSRクオリティ
※ベンチマークモードで計測
Ryzen 7 9700Xの平均fpsはRyzen 7 7700を大きく上回り、X3Dシリーズの両CPUを下回っています。
全9ゲームの平均fps
全9ゲームの平均fpsです。
Ryzen 7 9700Xのゲーム性能はRyzen 7 7700だけでなく、ほぼ同価格帯のCoer Ultra 7 265F、Core i7-14700Fも大きく上回っています。
ただ、やはり、ゲーム性能に強い3DVキャッシュを搭載したX3DシリーズのRyzen 7 9800X3D、Ryzen 7 7800X3Dを大きく下回ります。
特にRyzen 7 9800X3Dとの差は大きなものとなっています。
Ryzen 7 9700Xのクリエイティブ系ベンチマーク
PC Mark 10
PCMark 10は、Windows PCの総合的な性能を評価するための業界標準のベンチマークソフトです。下記の3つの要素でベンチマークを行い、スコアを算出します。
- Essentials (基本性能):Webブラウジング、ビデオ会議、アプリの起動時間など、毎日の基本的なニーズを満たすための性能を測定します
- Productivity (生産性):スプレッドシート(表計算)やライティング(文章作成)など、一般的なオフィス作業における性能を測定します。
- Digital Content Creation (デジタルコンテンツ制作):写真編集、動画編集、レンダリングなど、負荷の高いクリエイティブな作業における性能を測定します。
なお今回は、設定をカスタマイズできる、PCMark 10 Extendedを実行します。GPUがスコアへ影響するのを防ぐために、「Use OpenCL」と「Use hardware-accelerated video processing」を無効化するためです。
Ryzen 7 9700XのスコアはRyzen 7 7700とほぼ同等で、Ryzen 7 7800X3Dを若干上回ります。
Ryzen 7 9700XのスコアはRyzen 7 7700を大きく上回り、Ryzen 7 9800X3Dとほぼ同等です。
Ryzen 7 9700XのスコアはRyzen 7 7700を大きく上回るだけでなく、Ryzen 7 9800X3D、Core Ultra 7 265Fとほぼ同等です。
Blender benchmark
Blender Benchmarkは、オープンソースの3Dソフトウェア「Blender」におけるPCのレンダリング性能を計測するための公式ベンチマークツールです。今回はGPUではなく、CPUでレンダリングして性能を計測します。
Ryzen 7 9700XのスコアはRyzen 7 7700を大きく上回ります。
Aviutlでのエンコード
無料の動画編集ソフトのAviutlで、x264コーデックでエンコードにかかった時間を計測します。素材は10分間のmov形式の4K動画です。
Ryzen 7 9700Xのエンコードにかかった時間は12分51秒でした。Ryzen 7 7700と比較して、約1分早く処理を終えています。
Ryzen 7 9700Xの消費電力
CINEBENCH 2024を10分間連続で実行し、CPUの単体の消費電力を「HWiNFO」で計測しました。
Ryzen 7 9700Xの平均消費電力は87W、最大消費電力は88Wでした。全体的にRyzen 7 7700とほぼ同等の消費電力です。
Ryzen 7 7700よりゲーム性能が高く、消費電力が変わらないので、ワットパフォーマンスは優秀です。
Ryzen 7 9700Xのレビューまとめ

- ゲーミング性能はRyzen 7 7700、Corer Ultra 7 265F、Corer i7-14700Fを上回る
- コストパフォーマンスが高い
- 消費電力が低い
- クリエイティブ性能が高い
- Ryzen 7 9800X3D、Ryzen 7 7800X3Dと比べるとゲーム性能は下回る
Ryzen 7 9700XはRyzen 7 7700と同じ8コア16スレッドですが、Zen 5アーキテクチャになったことで、大幅に性能アップを遂げています。
特にゲーム性能は非常に高く、Ryzen 7 7700だけでなく、同価格帯のライバルのインテルCPUのCore i7-14700F、Coer Ultra 7 265Fも上回っています。
ただ、3DVキャッシュを搭載したX3DシリーズのRyzen 7 9800X3D、Ryzen 7 7800X3Dと比べた場合は、大きくゲーム性能は下回ります。
ただ、その分、価格は抑えられており、同価格帯のCore i7-14700F、Core Ultra 7 265Fよりもゲーム性能は高いことから、コストパフォーマンスは非常に高いです。

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